あなたの一番大切な人(1)
入口の扉が蹴り飛ばされ、白い砂埃が舞い上がった。
国王はいきなりの衝撃によって床に突っ伏した状態のまま、ドアの下敷きになった。
喧嘩をしていた人間、観戦しながら囃し立ててた人間、ジョッキを洗っていた店員、乱闘を見ずに各々楽しんでいた人間、その他全員が状況に理解できず、破壊されたドアの先を見つめた。
そんな凍り付いた空気を破るかのようにたくさんの人間がずかずかと乱雑に入り混み、店内はいきなり黒く武器を所持した男たちで占拠された。
国王は、その服装を見て、顔色を変えた。
-やべ、憲兵だ!-
普段、自分の統括している組織が目の前に現れて、しかも自分を含めた市民に銃を突き付けているのだ。
「動くな。よし、そのまま無抵抗で地面に手を置け。」
店内全員が憲兵の登場に呆気にとられていたが、皆が従順に兵達のいう通りにした。
周囲を見回し抵抗するものがいないことを確認すると、憲兵たちは銃をおろし、店内を歩き出した。
その時ひときわ大きな男が店に入ってきた。
地響きを感じさせる足音を響かせながら、ゆったりと店の中央に進んだ。
大柄な男は声も大きかった。地鳴りのような声が店内に響いた。
「今からこの店のガサ入れを行うぞ。タレこみで、薬物の取引が横行してるって聞いたからな。」
-まずいな、禁衛隊長まで登場かよ-
街の治安を守ることを職務として王室に仕える禁衛の男は国王もよく知る人間だった。
数多くの部下からなぜか”くま団長”と呼ばれているのだが、もっぱら腕っぷしの良さでも有名だった。
国王はゆっくり起き上がりながら、顔を下に向けた。
国王はいきなりの衝撃によって床に突っ伏した状態のまま、ドアの下敷きになった。
喧嘩をしていた人間、観戦しながら囃し立ててた人間、ジョッキを洗っていた店員、乱闘を見ずに各々楽しんでいた人間、その他全員が状況に理解できず、破壊されたドアの先を見つめた。
そんな凍り付いた空気を破るかのようにたくさんの人間がずかずかと乱雑に入り混み、店内はいきなり黒く武器を所持した男たちで占拠された。
国王は、その服装を見て、顔色を変えた。
-やべ、憲兵だ!-
普段、自分の統括している組織が目の前に現れて、しかも自分を含めた市民に銃を突き付けているのだ。
「動くな。よし、そのまま無抵抗で地面に手を置け。」
店内全員が憲兵の登場に呆気にとられていたが、皆が従順に兵達のいう通りにした。
周囲を見回し抵抗するものがいないことを確認すると、憲兵たちは銃をおろし、店内を歩き出した。
その時ひときわ大きな男が店に入ってきた。
地響きを感じさせる足音を響かせながら、ゆったりと店の中央に進んだ。
大柄な男は声も大きかった。地鳴りのような声が店内に響いた。
「今からこの店のガサ入れを行うぞ。タレこみで、薬物の取引が横行してるって聞いたからな。」
-まずいな、禁衛隊長まで登場かよ-
街の治安を守ることを職務として王室に仕える禁衛の男は国王もよく知る人間だった。
数多くの部下からなぜか”くま団長”と呼ばれているのだが、もっぱら腕っぷしの良さでも有名だった。
国王はゆっくり起き上がりながら、顔を下に向けた。