あなたの一番大切な人(1)
衝撃によって意識が遠のきかけた時、店から一人の人間が飛び出し、虎のごとく颯爽と駆け寄ってきた。
全身を長いベージュ色のローブで覆った人間は、走りながら腰から長剣を取り出しすらりと剣を振り下ろした。
憲兵は反応が遅れ、銃を構えた時には相手が自分の目の前に迫っていた。
淡く透明な翡翠色の目を見つめると、なぜか身動きがとれず吸い込まれるような感覚に襲われた。
そして一瞬のうちに2人の憲兵がなぎ倒され、地面に横たわっていた国王は茫然と目の前の人間を見つめた。
「立てるか?」
長剣を握りしめた手とは逆の方を差し出し、倒れていた彼を起こした。
幸い縛られていた途中だったため、ロープはひらりと地面に落ちた。
「た、たすかった。なにがどうなって…」
ふと相手の目をみると、彼は憲兵が動けなくなった理由がわかった。
大きく円らな瞳は、曇りひとつない澄んだ目をし、その上には金色のまつ毛が長く瞳にかかっていた。
その瞳は、相手になにかを訴える力を持っていたし、今までそんな瞳を持つ人間に出会ったことはなかった。
しかしその怪しい人間は、目を静かに伏せ、所持していた剣を鞘にしまうと国王にするりと背を向け、その場から立ち去ろうとした。
ちょうどその時、荷台から収容されていた人たちが逃げ出そうとしていたのだが、酒場から負傷した隊長が姿を現した。
「このどあほう!逃げおおせると思うか?」
隊長は右腕を抑えながら、左で拳銃を構えて発砲した。その弾はベージュのマントを通り過ぎ、国王の地面のそばに届いた。
その銃声に居合わせた全員が驚いたが、その中で一番早く行動したものは国王であった。
彼は、すらりと立ち上がると、発砲してくる部下に背を向けとりあえず逃げ出した。
全身を長いベージュ色のローブで覆った人間は、走りながら腰から長剣を取り出しすらりと剣を振り下ろした。
憲兵は反応が遅れ、銃を構えた時には相手が自分の目の前に迫っていた。
淡く透明な翡翠色の目を見つめると、なぜか身動きがとれず吸い込まれるような感覚に襲われた。
そして一瞬のうちに2人の憲兵がなぎ倒され、地面に横たわっていた国王は茫然と目の前の人間を見つめた。
「立てるか?」
長剣を握りしめた手とは逆の方を差し出し、倒れていた彼を起こした。
幸い縛られていた途中だったため、ロープはひらりと地面に落ちた。
「た、たすかった。なにがどうなって…」
ふと相手の目をみると、彼は憲兵が動けなくなった理由がわかった。
大きく円らな瞳は、曇りひとつない澄んだ目をし、その上には金色のまつ毛が長く瞳にかかっていた。
その瞳は、相手になにかを訴える力を持っていたし、今までそんな瞳を持つ人間に出会ったことはなかった。
しかしその怪しい人間は、目を静かに伏せ、所持していた剣を鞘にしまうと国王にするりと背を向け、その場から立ち去ろうとした。
ちょうどその時、荷台から収容されていた人たちが逃げ出そうとしていたのだが、酒場から負傷した隊長が姿を現した。
「このどあほう!逃げおおせると思うか?」
隊長は右腕を抑えながら、左で拳銃を構えて発砲した。その弾はベージュのマントを通り過ぎ、国王の地面のそばに届いた。
その銃声に居合わせた全員が驚いたが、その中で一番早く行動したものは国王であった。
彼は、すらりと立ち上がると、発砲してくる部下に背を向けとりあえず逃げ出した。