あなたの一番大切な人(1)
ガシャンという空虚な音が響いた時、赤いマントの男はまだ独房にいた状態だった。
鍵がかけられたことに男は焦りの色を見せ、鉄格子にしがみついた。
「え---、ひどいですぅ団長さん。出してくださいよぉ。」
大柄な男は外から鉄格子の中を覗き込み呆れた顔をしていた。
「ふざけんな。てめぇは簡単に外に出られんだろ。俺はこいつと帰って寝るんだよ。そっちははやく仕事を片付けて戻ってこい。」
「そんなぁ、ずるいですよぉ。団長さんも一緒に拷問するっていってたじゃないですかぁ。」
「阿保ぬかせ。俺はこいつを連れ帰るっていったんや。過去をねつ造するんやねーよ。」
それでも納得していない赤マントの男がブーブー言いながら鉄格子を引っ張っていたが、大柄な男は大きな靴音を立てながらその場から立ち去った。
部屋には暴れる赤マントの男と、こげ茶色のブーツと、私が残った。
男が立ち去ったのを見届けた赤マントの男は、くるりと自分の方に目線を向けた。
しかじその顔つきが先ほどまでののほほんとした様子と打って変わっていた。
彼の口元には卑劣な笑みがうかんでおり、話し方にも先ほどのような甘ったれた感がなかった。
鍵がかけられたことに男は焦りの色を見せ、鉄格子にしがみついた。
「え---、ひどいですぅ団長さん。出してくださいよぉ。」
大柄な男は外から鉄格子の中を覗き込み呆れた顔をしていた。
「ふざけんな。てめぇは簡単に外に出られんだろ。俺はこいつと帰って寝るんだよ。そっちははやく仕事を片付けて戻ってこい。」
「そんなぁ、ずるいですよぉ。団長さんも一緒に拷問するっていってたじゃないですかぁ。」
「阿保ぬかせ。俺はこいつを連れ帰るっていったんや。過去をねつ造するんやねーよ。」
それでも納得していない赤マントの男がブーブー言いながら鉄格子を引っ張っていたが、大柄な男は大きな靴音を立てながらその場から立ち去った。
部屋には暴れる赤マントの男と、こげ茶色のブーツと、私が残った。
男が立ち去ったのを見届けた赤マントの男は、くるりと自分の方に目線を向けた。
しかじその顔つきが先ほどまでののほほんとした様子と打って変わっていた。
彼の口元には卑劣な笑みがうかんでおり、話し方にも先ほどのような甘ったれた感がなかった。