白黒王子と甘い恋

「お前、菜乃のことが好きだろ。」


陽太は、今まで俺が見たことのないような顔をするとあっさり認めてしまった。


ある日菜乃といつも通り一緒に帰っていると、

「ねぇ、拓斗。」

と真剣そうな声で呼ばれた。

「ん?」

俺が返事すると、


「あんた、優里のこと好きでしょ。」


思考回路が止まった。

菜乃が続けて、

「バレバレだったよ。朝、どんなに機嫌が悪くっても優里を見るたび顔ゆるんでる。」

「そんなに俺分かりやすい?」

不安になってきた。

「いや、大丈夫だと思う。幼なじみだからわかったんだと思う。」

って言われた。

なんかどんどん恥ずかしくなってきた。

「お前は誰かいないのかよ。」

話をそらす。

「あたしはもういいの。ゆっくり優里と二人で過ごすわ。あっ優里はあげないからね。」

そう言って笑う。
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