白黒王子と甘い恋

~菜乃side~

朝から女子に絡まれる拓斗。

それが日常化してしまったあたしには苦笑いしか出てこない。

女子の間を通り抜け、親友の待つ教室へと進む。


「おっはよ。今日も一段とすごいね。」

あたしは横目で小形を見ながら言った。

「おはよ。あれ、もう一人のうるさくなる原因は?」

と、優里が言った。

周りが一段とうるさくなったと思ったら、「白黒王子」のお出ましだった。

拓斗があたしを睨みつけて

「いっつも先に行くんじゃねーよ。」

と朝からキレていたから

「だって一緒にいたらいっつも進めないしうるさいし。」

と、冷たく吐き捨てるように言ってあげた。

隣で苦笑いをしている優里。

それを見て、気持ち悪いくらい顔がゆるんでいる拓斗。

そんな二人を見て幸せそうに笑う小形。


―――でも小形の幸せそうな笑顔には何か裏がある気がしていた。―――



 
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