友情よりも愛情を。
どうして?
「えーっとですねぇ」
「ん?」
「どうしてこんな事になってるんでしょうか?」
「さぁ?」
「…さぁ?って……えっと、じゃあ…とりあえずソコ、退いて頂けますか?」
「…ん?それは無理」
「無理って……あの、じゃあどうしたら…」
あたし、高瀬千佳は今、なぜか自分を真上から見下ろしている男 ―― 友人であるはずの杉野憲次に言葉を掛ける。
動揺のあまり敬語になってしまうくらいのあたしとは裏腹に、あたしを押し倒している張本人の憲次は、さっきからずっと、暖簾に腕押し状態でニヤニヤと笑うばかりだ。
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