友情よりも愛情を。
「憲次、酔ってんでしょ?」
「酔ってねぇよ」
「嘘、酔ってるよ。だからこんな、事…」
あたしはしどろもどろな自分が、動揺しているのが憲次にバレてしまうんじゃないかと、小さく息を吐き出した。
「酔ってねぇし、冗談でもねぇ…止めろって言われても止めねぇし、とにかくもう無理」
「はぁ?」
憲次の一方的な言葉に頭に来て、あたしの身体を押さえつけている憲次を、思いっきり睨んだ。
「…だからっ……んな、可愛い顔すんじゃねぇ、つーの…」
「はぁ?あんたナニ言ってんの?あたし、あんたの事思いっきり睨んでんだけど?」
「ばぁか……お前の怒った顔はめちゃくちゃ可愛い、って言ってんだよ!煽るだけだって、気付けよ」
呆れて声を荒げたあたしに、憲次はさも当たり前と言わんばかりの顔でとんでもない事を言い出した。
本人が幾ら酔ってない、って言ったとしても、幾らなんでもこれは、酔ってなきゃ言えないでしょ?