友情よりも愛情を。
変化。
「んっ!」
その隙をつくかのように、唇に何かが触れて視線を動かせば、目の前に迫っているのは憲次のきれいに閉じられた瞼。
驚いて、その肩を叩こうと手を上げようとするけど、憲次に掴まれたままの手首はビクともしなくて、悔しさに涙が滲んだ。
憲次の瞼がゆっくりと上がって。
そのまま、ゆっくりと唇が離れていく。
酷く怠慢なその動きに言葉を封じ込められたままでいるあたしの耳許に、憲次がスッと唇を寄せてきた。
「もう我慢できねぇんだよ………なぁ千佳…俺のモノになれよ……」
低く鼓膜を震わすような憲次の声が、直接耳から流れ込んできて、それは急激にあたしの心の中へと浸透していった。
離れていく時にあたしの耳を食んだ憲次の唇にビクッと身体を揺らすと、憲次の指があたしの顎を固定して、真上から瞳を覗き込まれた。