水簾~刻の雨音~
裁判
「…だめに決まっておろう。」
村長はかなり悩んだ末、そう言った。
蛍は打つ手はないかと思考をめぐらせる。
翠もだいぶ参っているようだ。
と、村長が言った。
「この村人の最低条件は、妻か子どもがいることじゃ。お前はそれに沿うておらん。」
…なんでそんなことをわざわざいうんだ?
蛍は村長を見た。
先ほどはかなり悩んだ末、蛍を罪人とした。
今も村人の条件なんてものを語り始める。
(…この人、実はこの裁判望んでないのかもしれないな…。)
蛍は眉を寄せた。
「お前に妻子がいるならともかく、お前は一人だからのう。」
またこのはなしか、と蛍は半眼になった。
と、次の瞬間だった。
翠がものすごい勢いで村長の詰め寄った。
「村長っ!!この人は村人よ!!だって…!!」
蛍はある一つの希望を見つけて目を瞬かせた。
心臓が跳ねる。
翠に言って欲しい。
翠が息をする一瞬が長く感じた。
どくんっと心臓が跳ねた。
翠が真っ赤になって叫んだ。
「…この人はっ!私の夫となる人です!!!」
…その場がシンとした。
重い沈黙が流れる。
と、次の瞬間だった。
わっとその場が湧いた。
「よく言った!!」
「無罪だ!!」
村長も満足げに頷いた。
「うむ!無罪じゃ!!」
その満面の笑みに蛍は脱力した。
裁判がいやならやめてくれりゃいいものを。
まぁ、立場上そんなことも言ってられないのだろうが。
とにかく、蛍は後ろから翠に抱きつくと額をその肩に乗せた。
それだけで、怖いくらい満たされた。
「…蛍…?」
蛍は口を開いた。
「…いや…嬉しかった。」
翠が蛍の腕の中で回転した。
「返品不可ですから。」
「そりゃ俺のセリフだ。」
「死ぬまで一緒なんでしょ?」
蛍は噴き出した。
「…そうだったな。」
翠が器用に蛍の腕の中から抜け出し、外へと蛍を導く。
「…帰ろ?」
蛍は翠の手を握った。
その手は、本当に暖かかった。
村長はかなり悩んだ末、そう言った。
蛍は打つ手はないかと思考をめぐらせる。
翠もだいぶ参っているようだ。
と、村長が言った。
「この村人の最低条件は、妻か子どもがいることじゃ。お前はそれに沿うておらん。」
…なんでそんなことをわざわざいうんだ?
蛍は村長を見た。
先ほどはかなり悩んだ末、蛍を罪人とした。
今も村人の条件なんてものを語り始める。
(…この人、実はこの裁判望んでないのかもしれないな…。)
蛍は眉を寄せた。
「お前に妻子がいるならともかく、お前は一人だからのう。」
またこのはなしか、と蛍は半眼になった。
と、次の瞬間だった。
翠がものすごい勢いで村長の詰め寄った。
「村長っ!!この人は村人よ!!だって…!!」
蛍はある一つの希望を見つけて目を瞬かせた。
心臓が跳ねる。
翠に言って欲しい。
翠が息をする一瞬が長く感じた。
どくんっと心臓が跳ねた。
翠が真っ赤になって叫んだ。
「…この人はっ!私の夫となる人です!!!」
…その場がシンとした。
重い沈黙が流れる。
と、次の瞬間だった。
わっとその場が湧いた。
「よく言った!!」
「無罪だ!!」
村長も満足げに頷いた。
「うむ!無罪じゃ!!」
その満面の笑みに蛍は脱力した。
裁判がいやならやめてくれりゃいいものを。
まぁ、立場上そんなことも言ってられないのだろうが。
とにかく、蛍は後ろから翠に抱きつくと額をその肩に乗せた。
それだけで、怖いくらい満たされた。
「…蛍…?」
蛍は口を開いた。
「…いや…嬉しかった。」
翠が蛍の腕の中で回転した。
「返品不可ですから。」
「そりゃ俺のセリフだ。」
「死ぬまで一緒なんでしょ?」
蛍は噴き出した。
「…そうだったな。」
翠が器用に蛍の腕の中から抜け出し、外へと蛍を導く。
「…帰ろ?」
蛍は翠の手を握った。
その手は、本当に暖かかった。