好きなんて、言ってあげない。
◇奪われたファーストキス

「本原さんのことがずっと好きでした!僕と付き合ってください!」


お昼休み、お弁当を食べている最中に隣のクラスの男に呼ばれて来たのは中庭。

顔を真っ赤にしながら告白してきた男を見る。

まぁ、顔は良くも悪くもなく普通。

クラス内ではあまり目立つタイプじゃなさそうね。

なんていうか、どこにでもいるような平凡な男。

つまり、私に見合う男じゃないってことだ。


「あなたのことよく知らないので……。ごめんなさい。でも、気持ちを伝えてくれてありがとう」

「じゃ、じゃあ僕のこと知ってからでも……!」


そう言って、男が急に距離を詰めてきたから思わず一歩後ずさってしまった。


「僕のこと知ってから、告白の返事聞かせてよ!」

「えっ、いや、その……」

「僕、本当に本原さんのことが好きだから……!お願いだ!」


今度は腕を掴んできて、私は断ってるのに全く引き下がろうとしない。

徐々に腕を掴む力が強くなってきていることに気付いて、思わず舌打ちしそうになるのをなんとか我慢。

……あーあ、せっかく優しく断ってあげたのに。
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