好きなんて、言ってあげない。

そう言われてみれば、たしかに伊槻に彼女ができたことはあっても長続きはしてなかった気がする。

そのたび、ここぞとばかりに、いつもバカにされてるお返しとして嫌味を言ってた。


「もしも伊槻がずっと私のことを好きだったとして、なんであんなに私のことバカにしてくるのよ」

「それは考えれば分かるよ。好きな女の子をいじめたくなっちゃう男の子って、いるでしょ?」


当たり前のように答えた璃音に、驚いてなんて言えばいいのか分からない。

だって、璃音の言ってることが本当なら、私は伊槻のそんなガキっぽい気持ちに振り回されてたってことになる。

……冗談じゃないわ。


「由宇ちゃん、落ち着いて。よく考えてみよう?。伊槻くん、由宇ちゃんに釣り合いそうな男の子じゃない?」


璃音の言っていることは、否定できない。

今まで告白してきた男の中でも、伊槻はトップクラスだと思う。

頭の中では、分かってるつもりなのだ。


「やっぱり、伊槻だけは無理よ」

「言うと思った。だけど、由宇ちゃんの本性知ってて、好きって言ってくれる男の子なんて伊槻くんくらいじゃない?」

「うっ……」
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