好きなんて、言ってあげない。
そこを突かれると痛い。
実際、今まで何度もされた告白だって、結局“優等生”を演じている私へのものだ。
璃音の言う通り、私の本性を知ってても好きだって言ってくれてる伊槻は貴重な存在かもしれない。
でも、……だめだ。
やっぱり伊槻だけは、どうしても恋愛対象として見れない。
いつもバカにしてくるしムカつくけど、正直友達としてはいい奴だって思ってる。
私の本性知ってるから、ずっとニコニコしてなくていいし。
「とにかく、伊槻くんのこと避けるのはやめてあげよう。無視はよくないよ」
「……分かってるわよ」
人のことは無視してはいけません、なんてことは小学生でも分かる。
怒ってるっていうのもあるけど、伊槻の顔を見るとどうしても昨日のキスを思い出してしまって冷静でいられなくなりそうだから避けてた部分もあるのだ。
「由宇ちゃん、意外と普通の女の子みたい!」
「普通の女子っぽいって、なによ!?」
「だって、由宇ちゃんは他の女の子とは色々違うっていうか。うーん……。とにかく、明日からは普通に接してあげないと、伊槻くんかわいそうだよ?」