好きなんて、言ってあげない。
由宇の手、小さいな。
俺の手にすっぽり入るくらいで、ちょうどいい。
そんなことを思いながらたまたま見つけた空き教室に入った。
怒っている由宇がなんだか可愛くて、さっきの男にところに戻るって言うから焦って、気付けば告白していた。
でも、後悔はしてない。
どうせいつかは言おうと思ってたし、その時期が早まっただけだ。
「……ファーストキスの相手が俺とか、やばい」
由宇が出て行った空き教室でひとり、ニヤけが止まらない。
由宇は怒ってたっぽいけど、そんなのも俺にしてみれば可愛いって思うんだよ。
本当に、こんなに好きにさせてどうしてくれんだろうな。
責任、取れよ。
俺の心のつぶやきなんて、由宇には届いていないだろう。
由宇が俺のことを恋愛対象として見ていないことも分かってる。
……いや、待てよ。
“由宇に釣り合う男”の部類には入ってるかもしれない。
自分で言うのもアレだけど、俺は顔もいい方だと思うし、そこらの男よりも由宇の理想にかなり近いはず。
「……落ち着け、俺。そんなのじゃだめだ。ちゃんと惚れさせるんだ」
そして、必ず俺のモノにしてみせる。