好きなんて、言ってあげない。

……しつこかったから、つい“素”を出しちゃったし。

多少“素”が出てしまったくらいで逃げるなんて、所詮は私の顔にしか興味なかったってことよね。

なんてつまらない男。

せっかくのお昼休みを、無駄にしてしまったことに呆れながら教室に戻った。


***


「由宇ちゃん、おかえりっ。告白のお返事、どうしたの?」


席に着くなり話しかけてきたのは、親友の山梨璃音(やまなし りおん)。


「なんで告白だって気付いてるのよ。私、男に呼び出されただけなんだけど」

「だって、由宇ちゃんが男の子に呼び出されるなんて告白しかありえないんだもん」


確かに、私が男に呼び出されるときのほとんどは告白。

はっきり言うけど、私は可愛い。

胸元まで伸びた、サラサラで艶のある黒髪。

ぱっちり二重の大きな瞳に、スッと通った鼻。

きめ細かい白い肌、さくらんぼ色のぷるんとした唇。

小さい顔に、スラッとした手足でスタイルだって抜群。

私は、誰がどう見ても美少女なのだ。

そして、自分がこんなにも可愛いということ、モテるということも自覚済み。
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