好きなんて、言ってあげない。

本性がバレてからというもの、伊槻はなにかと絡んできては私をバカにする。

迷惑以外のなにものでもない。


「そういえば、隣のクラスの男にコクられたんだって?」

「私って、モテるから」

「その男が好きになったのは由宇じゃなくて、“優等生”を演じてる由宇だろ?」


悔しいけど、事実だから言い返せない。


「そんなんだから、由宇には彼氏ができないんだよ」

「大きなお世話よ。彼氏なんてすぐにできるわ。私のことが好きな男なんて、たくさんいるんだから」


私が告白を断ってるだけで、OKを出せばいつでも彼氏くらいできる。

私に釣り合う男が現れたら、いつでも付き合ってあげるわよ。

今まで告白してきた男は、私に告白してくる勇気は認めてあげるけど、私に釣り合うような男じゃなかっただけ。


「偉そうなこと言ってるけど、絶対に彼氏はできないだろうな」

「できるって言ってるでしょ!」

「はいはい。いつもそうやって見栄張って、結局今まで彼氏できたことないだろ?」

「う、うるさいわね!」


どこまでもバカにしてくる伊槻に、私はつい言ってしまった。
< 6 / 25 >

この作品をシェア

pagetop