千年の時空を越えて
池田屋事件~総司Side~
雪が、土方さんに果たし状を渡して、僕が稽古をつけるようになり早一年。
雪は、飲み込みが早く、どんどん強くなっていった。
でも日が経つにつれ、様子がおかしい。
巡回の時はどこの組だろうがついて行き、死番を受け持つ。部屋で刀を振り回している。
稽古禁止と言われれば、寺の境内で、こっそり稽古。
夜中も、ほんの一時寝たと思ったら、稽古をしていた。
挙げ句の果てに、どこかの道場に飛び入り参加して竹刀を振るう時もあった。
何かを焦っている。そんな印象だった。
そして、今から、長州藩の御所の放火計画を潰すため、潜伏先を探す。
すると、彼女が、土方さんを連れ、道場に消えていくのが見えた。
僕も、こっそり、ついていく。
すると、彼女が土方さんを負かした。
拍手して、入って行こうとしたら、彼女が突然土方さんに抱きついた。
僕は、時が、止まったように体が、動かない。
どうして?本当は、土方さんと恋仲になりたかったの?
そんな事を思いつつ二人を呆然と眺めているとあることに気付く。
総「僕と抱き合ってるときの顔付きと違う・・・。」
今の彼女は、とても辛そうな顔をして何かを話してる。
土方さんは、驚いた顔をして、口が開けっ放しだ。
二人は、何か神妙な顔付きだ。
直感的に思う。
雪は、土方さんの事は、何とも思ってない。
それがわかっただけでも良しとしよう。
その場から、そっと離れた。