千年の時空を越えて
目が覚めると、次の日の昼間だった。
“てんてき”はもう外されていた。
雪はどこにいるんだろう・・・。
廊下を歩いてると空き部屋から人の気配がする。
襖を開けると、なんと、幹部のほとんどの顔が揃って座ってる。
真ん中に雪が眠っていた。
総「僕の所には人っ子一人いなかったのに、ここはえらく人気の部屋なんですねぇ。」
そう言うと、
土「日頃の行いの差だな。」
総「そうかなぁ~ただの下心だけなんじゃないですか?」
嫌みに嫌みで返す。
一「二人とも怪我人の前でうるさいですよ。」
そう言われ、雪を見ると、雪の両手を土方さんと一君が片方ずつ手を握り指を絡めている。しかも頭に手を置いたり、頬を撫でたりしている。
総「何で、二人とも、雪の手を握ってるんですか!離してください!」
土「うるせぇなぁ。テメェは。」
一「ほんっとにうるさい。もっと寝とけばよかったのに。」
総「なんか言った?」
ギロッと睨む。
丞「ほんまに総司が起きたらうるさいわぁ。雪から預かった薬でもういっぺん眠らしたろか。」
チャキと刀を触り、
総「何?」
丞「何でもあらへん。」
すると、皆が、そろそろ行くと部屋を出て行った。
総「土方さんは、行かないんですか?」
土「俺が当番だからな。」
総「当番って?」
土「雪が目を覚ました時のために、一人付いてる。」
総「え・・・?僕は?」
土「お前なんか別にいらねぇだろ?勝手に起きてきたじゃねぇか。」
総「ほんっとに最低な人たちですね!」
土「言ってろ。」
総「そう言えば、雪はどうしてこんな事になってたんですか?」
僕は、全て聞いた。任務で、僕を助けた事、そして死にかけたこと。
土「これ見ろ。」
雪が着ていた隊服はズタズタに斬られた後があり真っ赤に染まっている。
普通だとこんなに斬られたら死んでる。
丞「これ、体中に巻きつけてた。しかもこのサラシ見てみ。」
僕は、涙が溢れそうになる。命をかけて、僕を守ろうとしてくれたんだ。
総「雪・・・。」
すると、部屋の外で、
隊士「こちらに、沖田組長か副長いらっしゃいますか?」
と僕の組の子が来た。