千年の時空を越えて
「また悩んでるのか?」
振り向くと、土方さんがピッタリと横に座ってきた。
雪「近くないですか?」
そう言って、少しずれると、また寄ってきてピタリとくっつく。
土「いいんだよ。で、今度は、何だ?」
雪「言うわけありません。」
土「そうだろうなぁ。」
土方さんは、何も言わず、ただ横に座って、私の頭に手を置いて私の頭をぐりぐり回す。
雪「痛いです!」
手を払いのけようとすると、腕を掴まれ、抱き寄せられる。
雪「ちょっと!」
土「隙あらば。だ。」
ジタバタするとギュッと抱きしめられる力が強まる。
土「お前は、一人で、抱えすぎだ。一人で抱えれる量は決まってる。俺が、半分持ってやる。だから、寄越せ。これでも、お前の上役だからな。」
雪「土方様・・・。」
スッと顔を上げる。
すると、優しい顔で、見つめられる。
彼が・・・私は・・・。ダメだ。言えない。言えない。だって・・・。
恋人が、不治の病で苦しんでいるのに、私は、その病気を治してあげれるのに・・・。
それをしてあげれない。でも、苦しんでる彼を、見るのが、辛い。
しかもその彼は、あなたの弟的な存在の総司さんの事だなんて言えない。
そんな事を、土方さんに背負わせる事は出来ないよ。
仕事モードになろう。目を瞑り、息を吸おうとしたら
土「止めろ。」
雪「え?」
土「それで感情を隠すな。もしそれしたら、襲うぞ。」
雪「何で・・・。何でそんな事を言うんですか!?私は・・・。私はっ・・・うぅ。ひっく。」
もう涙が、堰を切ったように溢れない止まらない。
土方さんは、また私の顔を自分の胸に押し付けた。
私はそれに甘えて、声をあげて泣いた。
どの位、泣いただろう。少し落ち着いた所に、低い声がした。