千年の時空を越えて
部屋に連れてこられて、向かい合って座る。目がみれなくて、下を向く。
総「何で、泣いてたんですか?」
雪「・・・。」
総「土方さんに何かされたんですか?それだったら斬ってきますが?」
私は、フルフルと首を、横に振る。
総「・・・。じゃあ、僕の病の事ですか?」
雪「!!!」
顔を上げてしまった。ハッとしてまた下を向く。
総「やっぱり・・・。僕がどれだけ雪を見てきたかわかりますか?きっとあなたよりもあなたのことわかってますよ。」
雪「ごめんなさい・・・。私のせいで・・・。」
総「雪のせいじゃないですよ。自分の体の事くらいわかりますよ。ねぇ、雪・・・。正直に答えてくれる?」
雪「・・・。」
総「僕は、この病で死ぬの?」
答えれないでいると、顔を手で包まれ上を向かされて、もう一度、聞かれる。
総「僕は、病で死ぬの?」
至近距離で見つめられて、もう誤魔化せないと思った。
雪「はい・・・。」
総「そっか・・・。」
触られていた手がストンと落ちた。
総「僕は・・・。僕は・・・。近藤先生のお役には立てずに、病なんかで死ぬんですね・・・。」
総司さんはそう言うと、バンッと拳で畳を叩く。
総「近藤先生のお役に立てない・・・。僕は役立たず・・・。うっ・・・。うっ・・・。」
肩を震わせ、ポタポタと彼から雫がこぼれ落ちている。
私は、彼を救いたい。誰になんと言われようと、悪者になろうとも。
私は、決意する。総司さんを救う。
ギュッと抱きしめて、総司さんにゆっくり話す。
雪「総司様・・・?生きたいですか?」
総「え?」
雪「もし私が、病を治せるって言ったら治したいですか?」
総「でも、これって、労咳だよね?」
ギュッと抱きしめている腕を緩め、彼の目を見る。
雪「はい。労咳です。労咳は、今の時代は不治の病ですが、未来は治る病です。治したいですか?」
総「僕は・・・。僕は、この命を近藤先生の為に使いたいです!」
彼を救う!私は、歴史を変える方を選ぶ!自分が罪人になっても、彼を救いたいと心から思った。
雪「わかりました。では、近藤先生に許可を貰いに行きましょう!」
総「え?」
雪「だって、近藤先生に預けている命なんですよね?だから、少しの間、私に、預けて欲しいとお願いしにいきましょう?」
もう一度、ギュッと抱きしめる。
雪「総司様・・・。絶対に助けます。だから、後悔しない死に方をして下さいね。最期の時に、『この人生良かった』と言えるような生き方をして下さい。指切りげんまんです。」
総「はい・・・。」
そう言って、指を絡めた。