千年の時空を越えて
雪が僕を、甘味処へ連れてきてくれた。ひそひそと後ろ指を指されている。
池田屋事件の後、僕たちは“みぶろ”と恐れられていた。
でも、そんなのが気にならない位、二人で出かけられたのが嬉しい。
まぁ、欲を言えば、男装でなくおなごの格好だったらもっと良かったなというのは、欲張りかな。
雪「総司様!何を召し上がりますか?」
総「団子にする。」
雪「じゃあ私も。」
総「団子5つ。」
「お待ちどう様。」
雪「いただきます。はい、どうぞ。」
そう言って、雪は、団子をを一串取り僕の口に優しく当てる。
雪「あーん。」
僕は、少し恥ずかしい気持ちもあったがおもむろに口を開ける。
開けると団子を入れられ、口いっぱいに甘い香りが広がる。幸せだなぁ。
雪「美味しいですか?」
総「うん。美味しいです。」
雪「そうですか?良かったです。総司様、最近、ちょっとご機嫌が悪かったから。」
総「よくわかりましたね。」
雪「自覚あるんですね?」
総「ありますよ。だって、雪との時間を邪魔され続けてたらこうなるよね!?しかも雪もいっつもついて行っちゃうし!機嫌も悪くなるでしょ!」
そう言うと、雪は、ケラケラ笑った。
雪「総司様、一番隊の皆さんはそれで毎日、クタクタになっていたんですね。ハハハ。可哀想に。」
そして、また、団子を食べさせてくれる。僕は、嬉しくてあーんと大きな口を開けると、
雪「周りから見れば、男同士でこれやってますけどいいんですか?」
って悪戯っ子の目で見てきた。可愛いよ・・・。雪・・・。胸がギュッと掴まれる。
周りを見渡せば、皆、眉を寄せて苦い顔をしていた。