千年の時空を越えて





見廻りから、戻ると、屯所がざわついていた。





雪「ただいま戻りましたー。」





平「お、おい!雪!」




雪「ん?どうしたんですか?」





土「おい、雪!お前と総司も来い!」




慌てた様子の土方さんに総司さんと顔を見合わせる。





大部屋へ行くと、




雪「あ・・・。お菊さん・・・。と父上殿。」




菊の父「あーこれは、これは、乾様。」




菊「雪之助様!」




近「実は、こちらの米問屋の大中さんがな、その・・・。雪とお菊さんの縁談を持ってこられた。」




雪・総「えぇ!?縁談!?」





菊の父「いやぁ~最初は勘違いして、塩なんか撒いてしまったのに雪之助殿には、娘を助けてもろうて。しかも、ずっと娘に付き合ってもろて、店に遊びに来てくれた時も、お客さんには気に入られてはる。それに、娘が雪之助殿に惚れてるから余計に雪之助殿に婿に来てもらえたら嬉しいんやけどなぁ。どないやろ?」


どないもなにも女ですから!






近藤さん、土方さん、総司さん笑いをかみ殺して我慢してる・・・。




近「雪、お前はどうしたい?なかなか良い話しだと思うが?」



わざとだな。これ。



雪「大中様、私を婿にと言って頂けたことありがとうございます。しかしながら私は、新選組を辞めるつもりはありません。この命は、新選組の為、近藤先生や幹部の方々の為に使いたいと思っています。お菊さんはとても、良いお方で、私には、勿体のうございます。申し訳ありません。このお話はお断りさせて下さい!」


畳に頭をつけて、誠心誠意、謝った。




菊「それは、別の理由があるんじゃないですか!?本当は、この人のせいじゃないんですか!?」




ビシッと指差したのは、総司さん?




雪「え?・・・。それは、どういう・・・。」



菊「私を助けてくださった日、あの時、私は、声を聞いたんです。最初、迷いましたが、声をかけました。そうして雪之助様が現れた。別のお方だったのかと思いましたが、おぶってくださった時、あなたの身体には赤い痕がいつくもありました。雪之助様は、綺麗なお方です。お優しいお方です。だから、このお方に無理やりされているんでしょう?他に好きなおなごがおいででしたら諦めます。でも、男のこの方が、お相手だと言うなら諦めれません!」



近藤さん、土方さんが、総司さんを睨んだ。




私も睨む。




総司さんはというと、イラッとした様子で、



総「僕達は愛し合ってます。だって、雪はおな・・・ふぐっ。」



私は、とっさに、総司さんの口を塞ぐ。




雪「余計な事言わないで下さい!せっかく丞さんに女装してもらおうと思ったのに!」




小声で怒るとごめんと言われる。




はぁとため息をつき、お菊さんに向き直る。




雪「総司さんの言った事が正しいです。私達は、愛し合っています。私が、あの日、彼を襲ったんです。総司さんは、こんな事ダメだって言ってましたけど、私が誘惑したんですよ?私が、彼に惚れてるんです。私は女に興味がない。」



菊「だって・・・。私に接吻したじゃありませんか!」





雪「あんなのは、接吻ではありません。口の端に触れただけのこと。アレくらいなら誰とだってしますよ?」



菊「嘘です!」




私は、土方さんの所へ行き、唇を重ね、舌を絡ませ深い口づけをする。




土「!!」



唇を離すと嬉しそうに口を緩ます土方さん・・・。




雪「嬉しそうにしないで下さい。口拭って、嫌そうにして下さい!」



小声で言うと土方さんが慌てて苦い顔をして、ゴシゴシと口を拭う。




菊の父「なっ!」





雪「あなたにしたのは、ただの人助けに過ぎない。荷物を持つのと一緒です。」






菊「そんな・・・。だって・・・。巾着だって・・・。」






雪「困っていらっしゃったあたなに私は手を差し伸べた。頼まれた恋人のフリなんですから、しますよね?」




私は”フリ”を強調する。




雪「だから、残念でしたよ。女しか好きじゃない総司さんにずっとその気になるよう手を尽くして頑張ってたから。やっと結ばれると思ったのに・・・。私は総司さんが好きだから、私とあなたは、絶対に結ばれません。私は、男にしか興味がないから・・・。だから、ごめんなさい。」



と深々、頭を下げた。






菊の父「お菊、帰るぞ!雪之助殿。娘を助けてくれた事は礼を言う。だが、もう、娘には会わないでくれ!気色悪い!」



そう吐き捨てて、菊さんを引きずり出て行った。


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