千年の時空を越えて
拷問部屋は、薄暗く、あちこちに、赤黒いシミが残っている。埃っぽく、モワッと独特な臭いがあった。
縄で手を縛られる。
女でも関係ないのかしら?
土「長州の奴を助けたって本当か?」
雪「はい。」
土「やっぱりテメェは、間者か?」
雪「違います。」
土「じゃあ、なんで敵を助けた?」
雪「私の任務だからです。お役目ですから。」
土「これは裏切り行為だ。」
雪「そうでしょうか?」
土「はぁ!?敵を助けたんだ!しかも、相手の陣まで入ってわざわざ。裏切りだろうが!」
雪「私の任務は、高杉 晋作の救助。他の奴なんてどうでも良いですから。」
土「何を流した?」
雪「別に何も流してないです。」
土「信じられるかよ!」
雪「まぁそうでしょうね。山崎様から報告受けてるんですよね?きっと、彼、寝たふりしてただけだし。どうせ、去った後も全部、話は聞いてたでしょう。」
土「なっ。お前・・・。気づいて・・・。」
雪「山崎様の気配だけはわかります。土方様が聞きたいのは、私が、彼に言った、<敵に売る情報>。違いますか?」
土方さんがニヤリと笑う。
土「あぁ。そうだ。」
雪「それなら、まどろっこしい事しないでください。高杉様は、クーデター即ち、反乱を起こすんです。幕府に寝返ろうとした長州藩の幹部を倒して、攘夷派の藩にするんです。」
土「はぁ!?そんな奴を、逃がしたのか!?」
雪「はい。彼は、それだけではないお方なので。長州は、敵です。でも、もし、長州が外国に乗っ取られたら?どんどん日の国は、侵略されるかもしれない!その他にも・・・。それを止めるのが彼です。長州には、彼しかいない。だから、私に、指令が出たんじゃないですか?私は、切腹ですか?」
すると、土方さんは、少し考えて
土「沙汰は追って渡す。」
と、私を、牢屋に入れ出て行った。