千年の時空を越えて
それぞれの想い
明里さんの身請けが済み、宿に宿泊してもらっていた。
山南さんは、最近、殆ど部屋に籠もり、伊東さんと話をしている。
多分、同じ志の伊東さんと話しが合うんだろうな・・・。
でも・・・。近藤さんも、土方さんも、疑っている。伊東さんのこと。
私と、丞さんは、伊東さんの勉強会の参加を命じられる。
はぁ・・・。つまらん・・・。ウトウトと船を漕ぎまくってると、
伊「雪さん。・・・。雪さん・・・。」
丞さんにツンツンと肘でつつかれる。
雪「ひっ。あ・・・。すみません・・・。」
伊「雪さん、筆が動いていないようですが、私の講義は退屈ですか?」
雪「いえ!決してそんな事は・・・。私は、書かなくても覚えれますので。」
伊「では、後で、個人的に、講義して差し上げますよ。」
雪「え・・・。いやぁ~・・・。今日は、ちょっと・・・。」
横を見ると、行けと目で合図を送る丞さん・・・。
雪「・・・。講義、お願いします・・・。」
それから、二時間、個人レッスンを受ける。
しっかしこの人、楽しそうにしてるなぁ・・・。
話だったら、高杉さんとか龍馬さんの話のほうが面白かったけど・・・。
欠伸をかみ殺していると。
伊「あなたは未来から来たそうですね・・・。」
雪「へっ?」
伊「平助君から聞きました。」
アノヤロウ・・・。私のトップシークレットをペラペラと・・・。
雪「そうですか。それが、何か?」
伊「どうして、あなたは、そんなに恵まれているのに、それを利用しないんですか?」
雪「どういう意味ですか?」
伊「未来を知っているなら、どう動けばいいかわかるじゃありませんか。そして、変えることだって出来る。どうしてそれをしないんですか?」
雪「別に、私は、歴史を変えたいなんて思ってません。だから、」
伊「でも、不治の病の彼は助けたんでしょう?矛盾しています。」
雪「ええ。私は、皆が悔いの残らない人生にして欲しいだけです。どんな、死に方であっても。この時代の人は、己の信じるものを持っていらっしゃる。そのために、命をかけている。だから、自分で決めて行動する事が、例え違った方向でも自分の信念がそこにあって悔いが残らないんだったら私は側で、見守るだけです。」
伊「そうですか・・・。是非、私の思想に賛成して欲しいですね・・・。」
雪「私は、別にいいと思いますよ。伊東様の考え方も。近藤先生の考え方も。長州の考え方だって。皆が、色々な考えを持つのは良いことだと思いますよ。」
伊「是非、私と一緒に行動してもらえませんか?」
これ、どうすれば?丞さーん!
とりあえず考えておきますと言い、部屋を出た。