千年の時空を越えて
私は、山南さんの部屋に来ていた。
雪「山南様。少しよろしいでしょうか?」
山「どうぞ。」
良かった。入れてもらえて・・・。
雪「失礼します。」
山「最近、伊東君の講義に顔を出してくれてるみたいですね?」
雪「あぁ。そうですね・・・。ちょっと、この時代の勉強とか初めてなので。」
山「ねぇ、雪。お願いがあるんです。」
雪「何ですか?」
山「伊東君の力になってあげてくれませんか?」
雪「え?それは、どういう・・・。」
山「僕の思想はここでは邪魔になってきています・・・。総長という名ばかりのお役で、意見も聞いてもらえない。前線を退いてしまった後は、近藤さんも土方君の意見ばかり聞くようになってて・・・。しかも、最初は、公武合体攘夷を掲げていたのに、今では、それに、背く事ばかり・・・。皆から不満が溢れてる。今度の屯所移設だって・・・。まぁ寺の方から、お願いもされたのですが、私の意見はどうやら、通りそうにもない。こんなので総長だなんて言えるのでしょうか?だから私は・・・。」
雪「実行したら最後です!」
山「え?」
雪「実行して心動くかも・・・は、ありません!逃げ切るか、捕まって、法度に触れたとなるか二つに一つです。私は、皆様には、後悔して欲しくありません!だから、私は最後の足掻きをします。」
山「え?」
雪「本当は、ずっと、ここにいて欲しい。でも、今、お話をして、山南様のお心は決まってる。でも、私は、山南様に幸せになって欲しい。卑怯ですが一つ、このお方を納得させていただけませんか?」
そう言って、外に隠れてもらっていた明里さんを呼ぶ。
雪「お二人で、お考え下さい。ここで、お二人でお幸せになって頂けませんか?」
泣いちゃダメ!涙が溢れそうになる。泣くな!
山「明里・・・。どうして・・・。」
明「秋風ちゃ・・・。いえ、雪之助様がうちを身請けして下さったんです。」
雪「よくよく、お考え下さい!!お願いします・・・。」
私は、頭を床に付けて深くお願いした。