千年の時空を越えて
次の朝、屯所中が騒ぎになっていた。
新「山南さんがいねぇ・・・。部屋にこんな文が・・・。」
文には、江戸へ行ってきます。ということ。近藤さんが自分の話しに耳を傾けなくなった事。
過激になっていく新選組にいるのが苦しい事など、短い文章の中に想いがすべて書かれていた。
そして・・・ここにいると場所を記していた。
土「・・・。これは・・・。総司、大津の宿へ行け。明日の昼までだ。」
総「はい。」
総司さんが出て行った。
他の面々も近場を探す。
どうか、文を理解してもらえましたように・・・。
私は、ずっと、願い続けていた。
2月23日。
しかし、そんな願いも虚しく、総司さんと一緒に、山南さんも帰ってきていた。
私は、駆け寄り、腕を掴んだ。
雪「山南様!なんで!?私のせいでっ・・・。あの文の意味がっ・・・。んぐっ。」
山南さんが私の口に手を置く。
山「あれは、久しぶりに笑わせて貰ったよ。僕の意思でココに帰ってきた。君のせいでも何でもない。雪・・・。最後のお願い聞いてくれる?明里を頼みたい。あの子は、身寄りがないから、親元も無いんだ。だから、それだけは少し心配でね。頼めるかな?」
私は、涙を拭いて、
雪「かしこまりました。」
そう言って、私は、山崎さんを探した。
雪「丞さーん!丞さーん!」
丞「どしたん?」
雪「山南様からのお役目貰いました。手伝って下さい!!」
そうして、丞さんと一緒に、明里さんの住み込み兼仕事場を探す。
しかし、時間ばかりかかってなかなかない。
雪「あ・・・。そうだ!丞さん!着物貸して下さい!」
私は、女物の着物を着てある人の所へ向かう。
雪「彦兵衛様!」
彦「え?もしかして、秋風?」
雪「はい。お久しぶりです!あのお願いがあるんです!」
彦「何?」
私は、彦兵衛さんに明里さんの事を話す。
彦「秋風のお願いだ。もちろんいいよ。彼女には、書道や花の先生をしてもらおう。もちろん住むところも用意する。その代わり、秋風・・・。僕と、恋仲になって欲しい。僕は、君が好きなんだ。君が角屋から居なくなって、探したけど、どこにもいなくて・・・。苦しかったよ。でも、やっと会えた。どう?僕の恋仲になってくれる?」
一緒に来ていた丞さんが止める。
丞「ゆ・・・。じゃなく、秋風!あかん!こんなん!山南さん喜ばんで!」
雪「丞さん・・・。他言無用でお願いしますね?」
私は、仕事モードのスイッチを入れる。
雪「彦兵衛様。私で良ければ。その代わり、明里さんの事、くれぐれもお願いしますね?」
丞「雪・・・。」
彦「秋風・・・。」
そっと、彦兵衛さんが私を抱きしめた。
雪「彦兵衛様。申し訳ありませんが今は、時間がありませんので数日後に必ず来させてもらいます。それで、よろしいでしょうか?」
彦「わかった。」
惜しむように離れて最後に、キスをされた。
私達は、無言のまま急いで屯所へ帰る。