千年の時空を越えて






次の日から雪の姿を見なくなった。






土方さんに聞いたら、金子が必要で、遊廓に奉公しにいったと。






なんで?だったら、前に、お役目与えられたときに断らなかったら、もっと給金貰えた筈なのに。





納得いかない気持ちで数日を過ごした。





新「今、角屋にめちゃくちゃ別嬪な芸妓が入ったらしいぜ。なんか、約束事がいっぱいあるのにそれでも人気なんだとよ。行ってみねぇか?」





左「そりゃ、楽しみだ!今宵、繰り出すか!?」






そんな、二人の声がして、






総「ぼ、僕も連れて行って下さい!」





つい、そんな事を言っていた。




新・左「へ?」





二人とも、驚いている。





僕は、遊廓には、殆ど行かない。




たまに、宴があってとか、どうしてもの付き合いで行く程度だ。だから、自分から行きたいと言った僕に二人は驚いていた。




嫌な予感がする。







夜になり、3人で、遊廓へ行く。





すると、角屋の前には、人集りが出来ている。時に、おぉーっと雄叫びも聞こえる。




新「おぉ?アレだな!噂の芸妓は!」





違いますようにと願ながら一歩一歩進んで、人垣から、前を覗くと、





総「っ!」




雪だった・・・。






左「え・・・。あれって雪じゃねぇか?」






新「本当だ・・・。」



僕達は、雪が一度、芸妓の格好をした所を見たことがあったからすぐにわかった。







雪は、格子の中から、色々な表情を目の前の男たちに振りまいていた。





男たちは、「秋風~」と呼びかけて、雪と目が合っただの微笑まれただの騒いでいる。






総「なんで・・・?」




僕は、そこに居たくなくて、踵を返し走った。




後ろから、新八さん達の声がしたけど止まれなかった。






どうして、あんな格好であんな場所にいるの!?






あそこにいるって事は、男たちに体を売っているんだよね!?触らせてるんだよね!






僕は、悲しさと嫌悪感でいっぱいだった。






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