千年の時空を越えて
雪の事を気に入っている上客が来て、どうしてもと言う事で、雪が部屋を出て行った。
僕は、雪と、二人で、話がしたくて、部屋の外で待っていた。
すると、戻ってきた彼女に、声をかけようしたとき、
総「雪・・・。」
「秋風!」
男が雪を呼び止めた。
何だか、仲睦まじげに男と話す彼女を見て、僕の中で、何かが切れた。
彼女がその男と、下の階へ降りて、戻ってくると、グイッと腕を引いた。
彼女は、バッと戦闘体勢に入るも僕だとわかりそれを解く。
僕は、もう一度、腕を掴み、空いている部屋に彼女を押し込めた。
僕は、心の中のどす黒い物を吐き出すように、彼女に問い詰めていた。
何で、女中じゃなく、芸妓なのか。なんで金子が必要なのか。
でも彼女は、何も言ってくれない・・・。
まただ。
僕だけ蚊帳の外。
これじゃ、お客と変わらない。
僕は、彼女のこと何も知らないんだから・・・。
それでも、僕の恋仲なんだと実感したかった。
だから、僕は、繋がりを求めた。
こんな事を言ったら、傷つくの解ってるのに、止められなかった。
総「もういいいですよ。今日は、お客として相手して下さいよ。どうせ、恋仲でも何も言えないんでしょ。それじゃ、さっきの客と何も変わらない。だったら、僕の相手もして下さいよ。」
そして、押し倒して、彼女の唇を奪う。
久しぶりの感触と彼女の匂いにクラクラすると同時に、黒い感情が噴き出てくる。
他の男も触ったのだろうか・・・。
あんな約束事なんて、皆が皆、守れる訳ない。
そう思うと、焦りが出てきた。
早く、僕のになって。僕だけの雪でいてよ・・・。
僕は、身体だけでも繋がりたかった。
抵抗する彼女の手首を頭の上で押さえつけて、肌を貪る。
雪「やめて下さい!」
いつもの甘い声の代わりに今日の声は悲しそうだ。
でも、雪と身体が繋がったら、心もまた繋がれるような気がして止めれなかった。
そして、後少しで、雪と一つになれると思った時、
スパーーーーーン
襖が開いて、立っていたのは、土方さんだった。
その時、彼女の顔が、はっきりと見えた。
総「っ!」
泣いてる。しかも、土方さんとわかったとたん、安堵した顔と助けを求める顔をしていた。
今、泣いてることに気が付いた。
僕・・・。泣かせたんだ。
土方さんも、雪の表情と状況から、怒りの空気を醸し出していた。
でも、口から、出たのは、
総「また、邪魔されましたね。今日は、秋風さんにお相手してもらおうと思っただけです。」
土「何言って・・・。」
総「もう良いですよ。興が冷めました・・・。今日は、もう帰ります。」
そんな言葉だった。
僕は、屯所へ戻り、部屋に閉じこもった。