千年の時空を越えて
しばらくすると、土方さんが部屋に入ってきた。
僕は、何も言えない。
土方さんが、真っ暗の部屋に、行灯の灯を灯す。
すると、丞ちゃんが部屋に入って来て、いきなり殴られた。
総「っ・・・。痛いです。」
丞「お前~!何さらしたんじゃ!このアホがっ!!!」
土「山崎ちょっと待て・・・。総司の言い分を聞いてからにする。」
僕は、胸の内を話した。
何も言ってくれない彼女。でも土方さんも丞ちゃんも雪のこと解っていて自分だけが解っていない焦り。心の中の黒いモヤモヤを全て吐き出すように、二人に話した。
すると、土方さんがはぁ・・・。とため息をついた。
土「今、俺達が解っている所を話す。」
総「はい・・・。」
土「アイツが芸妓になったのは、俺のせいだ。」
総「え?」
土「アイツは、最初、遊廓へ働きたいと言い出した。金が必要だと言って。ただ、アイツの疑いが晴れた訳じゃねぇ。だから、山崎も潜入させる必要がある。頼んだら、女中二人は無理と断られて、雪を、芸妓にした。」
総「はい・・・。」
土「まぁ、色々自分で、条件つける代わりに、売り上げを3倍にすると約束したらしい。女将が良い娘寄越してくれたって喜んでた。」
丞「雪は、総司が思ってるような事にはなってへん。あまりにしつこいと客が雪の手刀でおねんねになってはるし・・・。」
僕は、安堵する。
土「ただ・・・。何かを隠して、また動いてるのは確かだ。それが・・・。多分、俺らに関係があることだ・・・。」
総「それってどういう・・・。」
土「アイツが、芸妓になって数日経ったときに酒に酔って帰ってきた。んで、俺を多分、明里と勘違いして言ったんだ。『大丈夫。明里姉さん。私が助け』ってな・・・。」
総「明里姉さんって、山南さんの?」
土「あぁ・・・。んで、山崎に見張りと調べさせてる。」
総「何かわかったんですか?」
丞「雪が明里はんを身請けしようとしてる。」
総「え?女の雪が身請けって・・・。まさか!」
土「あぁ・・・。山南さんに何かあって、それで雪が動いている。でも、それは未来のことだから何も言えねぇんだろうな・・・。」
総「そんな・・・。」
土「まぁ、最近の山南さんは、屯所の移設なんかで色々あるが、どういう意味で身請けしようとしてるかはわかんねぇがな・・・。」
総「僕は・・・。最低ですね・・・。」
土「まぁ、そうだろうなぁ。」
丞「うん、最っ低やな。」
総「ちょっと、そこ慰めて下さいよ!」
土「いやぁ~。」
丞「無理やなぁ・・・。」
土「まぁ、後でちゃんと謝れ。」
総「はい。あの・・・。前から思ってたんですが・・・。なんで、雪の監視は丞ちゃんなんですか?島田さんだっていいと思うんですが。いっつも見つかってますし・・・。」
丞「う゛・・・。痛い所突きやがって。」
土「他の奴だと、完璧に巻かれるんだよ。でも、山崎の場合、巻かずに、内容を教える。だからだ。」
丞「信用してくれてんちゃうか?」
ジロッと睨む。
土「よし。話は以上だ。傷心の雪を手に入れるのは意外に早いなこれは。」
総「なっ!やめて下さい!」
丞「こんな好機逃すわけないやん♪恋敵、一人自滅~!」
総「仲直りしますから!」
土・丞「無理!無理!」
そうして、不敵な笑みを残し二人は出て行こうとする。
丞「雪は、今、俺の部屋におる・・・。謝りに来るか?」
総「・・・。うん。行きます。」
そして、二人で、丞ちゃんの部屋へ行く。