千年の時空を越えて
しばらく、話していると、雪が部屋に入ってきた。
僕は、雪を、チラッと見たが、フイッと顔を背ける。
色々な感情が、溢れてきたからだ。
その中でも、一番は、やっぱり、相田と恋仲になったという事だ。
雪「あの・・・。」
総「相田って人と恋仲なんでしょ?」
何か言いたげな彼女の言葉に被せた。
雪「はい・・・。でも、土方様がなんとかしてくれるみたいです。」
時間が、無かったとはいえ、やって良いことと悪いことがある。
しかも、相手は危険だ・・・。
いくら、任で何でもすると言われても、我慢の限界がある・・・。
総「最低ですよね?」
雪「はい・・・。ごめんなさい。総司様からすると最低な女です。」
総「山南さんの為だったんでしょう?」
雪「時間が無かったとはいえ、やり方は、最悪でした。」
最低で最悪か・・・。それなら、僕だって、最低だ・・・。
嫉妬で、彼女を傷つけた・・・。
総「この前はすみませんでした・・・。酷い事しました。」
雪「いえ・・・。いつもいつも、何も言えない私が、悪いんです。総司様は優しいから・・・。」
総司「優しくなんてないです・・・。だって、僕は・・・。」
君を離してあげれないから・・・。
雪「総司様・・・。こんな辛い時に、ごめんなさい・・・。」
総司「別に良い・・・。本当だったら、別れ話の一つでも出来れば、格好いいのかもしれない・・・。でも、それでも、君に、側に、いてほしいって思ってる・・・。情けないよね・・・。」
雪は、首を、左右にブンブンと振った。
僕は、涙を溜めた雪を抱き寄せた。
久しぶりの温かさに包まれて、僕は、やっと、安堵した。
すると、目から涙がこぼれ落ちた。
声を殺して泣いている僕を雪は、優しくずっと、包んでくれていた・・・。