千年の時空を越えて





それから、また、しばらく経った頃・・・。





俺が目を付けていた、桂小五郎に、土佐の脱藩浪士が訪ねてきた。






丞「何で、土佐の奴らが?」




俺は、忍び込んで、話を聞こうとした・・・。





しかし・・・。




「お前っ!何奴っ!」



しまった!




俺は、捕まってしまった。





間者が捕まる。いわゆる死を意味する。





あーあ・・・。まだまだ、副長や局長のお役に立ちたかったなぁ・・・。






そうこうしていると、思った通り、縛られて、拷問を受ける。





バシッ。




丞「ウグッ。」




隊士「お前は、何故あそこにいた?」




丞「迷っただけです。」




隊士「んなわけあるかぁ!!」




ドカッ。




絶対、喋らんで・・・。俺が、吐いてしまったら、新選組もそうやけど、雪が危ない。





水責めに変わった頃・・・。





あかん・・・。朦朧としてきた・・・。





その時・・・。



見張り「ん?なんだあれ?え・・・。ちょ・・・っ。おいっ!だ・・・。誰かぁぁぁ!ひひひ火の玉だぁぁぁ!」




あちこちから、恐怖におののく声と逃げ惑う声が、こだました。




そして、しばらくして、誰もいなくなった時、一人、誰かが近付いて来た。




雪「大丈夫ですか?今、助けます!」




丞「雪・・・?すまん・・・。ヘマした・・・。」




雪「お説教は、後です。歩けますか?」



間者を助ける事は、雪も疑われる。




丞「雪・・・。あかんて・・・。お前まで、疑われる・・・。」





雪「私は、大丈夫です。山崎様みたいなヘマはしません。」








丞「キッツイなぁ・・・。雪・・・。一緒に、帰ろう。もう、ネタ掴んだんやろ?」




雪「はい・・・。私には、まだ、しなくては、いけない事が、残ってるんです。山崎様は、情報を持ち帰ってください。」




俺は、雪から、薩長同盟の事などを聞いた。




丞「嘘やろ・・・?デカ過ぎやろ。その情報・・・。」




さっきの桂達の話は、それか・・・。




雪は、俺を京行きの船まで送ってくれた。



丞「雪・・・。やっぱり、一緒に帰ろ。俺が、見つかって、逃げたんやから、疑いがかかる。だから・・・。」




雪「山崎様・・・。間者になった場合、誰か、一人でも、情報を持って行かないと意味がありません。今回は、山崎様が、そのお役目。私には、まだ、ここで、しなくてはいけないことが残ってます。」




丞「それは、未来の?」



すると、雪は、コクリと頷く。




それやったら、俺は、何も言えん。




俺は、雪を抱きしめて、願いをかける。




丞「絶対、戻って来い。殺されたら、あかんで?約束な?」



雪「はい・・・。」



そして、俺は、ゆっくりと、雪から、離れると、雪は、船を降りた。





京に向かう中、俺の荷物に、未来の貼り薬が、入ってた。




丞「ほんま、ええおなごやなぁ・・・。」




また会える。




あいつが、こんな所で、疑われて、死ぬ訳ない。




そう言い聞かせて、屯所へ戻った。





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