千年の時空を越えて
屯所に着いて、真っ先に、土方さんの所へ行った。
丞「失礼します。」
土方「入れ。」
襖を開けると、総ちゃんもいた。
総司「あ!丞ちゃん!おかえりー!雪は?」
丞「・・・。」
二人の顔色が変わった。
総司「丞ちゃん・・・?雪は?何で一緒じゃないの?」
丞「雪は、他に、何かやることがあると・・・残ったんです。」
総司「はぁ!?置いてきたってこと!?」
俺は、今までの報告をした。
すると・・・。
ドカッ。
総ちゃんに殴られた。
総司「何で、首に縄つけてでも、連れて帰ってこなかったんだよっっ!その状況は、かなり、危ないじゃないかっっ!」
俺は、総司に当たり前のことを言われて、頭に血が上り、総司の胸倉を掴んでた。
丞「俺かて・・・。俺かて・・・っ。連れて帰りたかったけど・・・。未来のお役目や言われたら、引くしかないやろっ!俺かて・・・っ。」
土方「話は、解った。で?雪が、間者の可能性は?」
総司「何、言ってんですかっ!雪は、今回、丞ちゃんを助けたんでしょ?それなら・・・っ。」
土方「疑うのは、当たり前だ。あいつは、前科がある。長州と繋がっていたなら、好都合だろ?山崎をわざと、襲わせたかもしれねぇ。」
この人は・・・。
めっちゃ苦しそうな顔して、そんなん聞かんとってぇや・・・。
丞「間者の可能性は、低いです・・・。俺を、助けてくれた時・・・多分、あれは、未来の道具で助けてくれました。火の玉騒ぎになってたんです・・・。だから、もし、雪が“あっち側”なら、未来の物は、使わないはずです。」
土方「向こうの奴も、雪の事情を知ってるかも知れねぇ。」
丞「それは、ないと、思います。奇兵隊の総督である、高杉晋作は、かなりの切れ者です。そんな奴が、雪の事情を知ってたら、何かしら、すると思います。でも・・・。あの時の雪は、いつもと変わらんかった。それに、もし、雪が、長州と繋がっていたなら、薩摩との関係なんかを、俺に、話すとは、思えません。」
土方「なるほどな・・・。確かにだ・・・。だったら・・・。雪が無事かどうかだな。迎えには行けねぇし・・・。」
丞「俺がもう一度・・・。」
土方「お前は、もう顔が知られてる・・・。別の奴に行かせるか・・・。この件については、追って沙汰する。山崎は、少し休め。」
丞「はい・・・。」
俺は、副長の部屋を出た。