千年の時空を越えて
雪「土方様・・・。」
声をかけると、土方さんは、こちらを見て、はぁ・・・。とため息をついた。
山崎「副長!大丈夫ですか?」
土方「あぁ。」
雪「ちゃんと、食べていますか?」
土方「こんなくせぇ所で、飯なんか食えるか。」
雪「ふふっ。確かに、そうですね。土方副長?金策しちゃったんですか?」
山崎「おまっ・・・。何を言うてんねん!副長が、そんな事するわけないやろっ!」
雪「念のための確認です。土方様も、私と同じ事をするでしょう?」
そう言うと、土方さんは、くくくっと笑い、
土方「あぁ・・・。確実にするな。少しでも、可能性があるのなら、疑うのは当たり前だ・・・。」
雪「ですよね?で?真意は?」
土方「はぁ・・・。してる訳ねぇだろ?」
雪「でも、調べれば、調べるほど、黒い証拠が出てくるらしいですよ?ね?山崎様?」
山崎「う゛・・・。そうや・・・。」
雪「で、山崎様は疑ってるそうです。」
山崎「なっ!ちゃう!ちゃいますよ!?土方副長!」
土方「ほぉ。山崎。お前は、俺を疑ってるのか?」
山崎「いやっ!た、た、確かに、もしかして・・・?と一瞬だけ思いましたけど、副長に限ってそんな事するわけないし・・・っ。」
雪「一瞬、疑ったんですね・・・。」
山崎「あ・・・。」
土方「ほぉ?そうか。お前は、そう思ってたんだな・・・。よーーーくわかった!」
山崎「ち・・・違いますって!雪ぃ~!」
そこにいる皆が、笑った。
雪「大丈夫ですよ!土方副長。すぐに出して、差し上げます。今から、証拠を集めます。少しだけ、信じて、待ってて下さい。ね?」
土方「あぁ。雪・・・。」
格子の中から土方さんが手を伸ばす。
私の手を取り、土方さんが、自分の頬に当てた。
土方さんは、心から武士だから、切腹を命じられたら、すぐ実行するだろう。
でも、やっぱり、少し参ってるようだ・・・。
雪「土方副長には、まだまだ、お役目が残ってるんです。だから、勝手に死なないで下さいね?」
土方「ふっ・・・。あぁ・・・。」
私は、土方さんに、満面の笑みを見せて牢屋を出た。