千年の時空を越えて



雪「失礼します。」




高杉「あぁ。うの・・・。ふっ・・・。本物だな。」




雪「何をご冗談を。」




高杉「あのおなごが、“うの”として、現れたとき、驚いた。まだ動けたから、刀で脅してやったら、吐いた・・・。」



雪「何をですか?」



高杉「お前・・・。名を雪というのか?美しい名だな。雪・・・。こちらへ来い。」




そう言うと、布団をめくる。



雪「谷様・・・。私には、好いてる人がいるのですが・・・。」




高杉「だから、俺にとっては、そんな奴は、どうでもいい。ほれ。早くしろ。寒い。お前は、俺の愛妾なんだろう?」



私は、はぁ・・・。と溜め息をついて、布団に潜る。




雪「本当に、強引なお方ですね。」




高杉さんは、私を抱きしめた。




高杉「雪・・・。お前は、この事を知っていたから、ここへ来たのか?」




雪「え?」



高杉「近衛から、聞いた・・・。未来から来たのだろう?」




近衛さん全て話してるの!?





高杉「この病も、治ると聞いた・・・。治せと言ったら、断られた・・・。なぁ、雪・・・。お前は、治せるのか?」




私は、高杉さんを見つめた。




薬は、持ってる。




でも・・・。




高杉「俺は、まだ、やり残したことがある・・・。治せるなら治してはくれぬか?」




雪「悔いが残ってるのですか?」




高杉「あぁ。ここまでやった。後を継ぐ者に頼んだが・・・。」




雪「大丈夫です・・・。薩摩と長州は、幕府を倒して、政治をするんです。そして、第1回目の総理大臣という国の長に、あなたの弟分の伊藤さんがなるんです。」




高杉「えぇ!?伊藤が!?・・・真か?」




雪「はい。」



高杉「生きてきた中で、一番、たまげた・・・。」



雪「ふふふっ。あなたのご意志が・・・。松陰先生のご意志が、引き継がれて、ちゃんと、繋がっています。」



高杉「そうか・・・。良かった・・・。武士としては、悔いはない。」




雪「“武士としては”ですか?」




高杉「あぁ。俺は、エゲレスに行きたい。色々な所を旅して周りたいのだ・・・。でも、そこまでは、欲張らぬ。お前の名を知れただけでも、良しとする・・・。」



高杉さんは、私を抱きしめて、力尽きて、眠ってしまった・・・。





雪「おやすみなさい。」




私も色々と、疲れていたのもあり、眠ってしまった・・・。









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