千年の時空を越えて
数日後・・・。
おマサさんや、ご家族の方が来た。
雪「初めまして。うのと申します。」
高杉家の人達は、私を訝しげに見た。
私は、高杉さんと、1日の少しだけ、一緒にいる。
そして・・・。
運命の日。
その日、高杉さんは、少し、体調を良くして起き上がった。
高杉「うの・・・。亀屋に行きたい・・・。」
雪「かしこまりました。本当に、お座敷遊びが、お好きですね。」
私は、集まっている人達に協力を得て、部屋をお座敷のように飾った。
そして・・・。
私は、芸妓の姿になり、三味線を持って、高杉さんの元に出て行った。
雪「旦那様、お久しぶりにございます。今宵は、楽しんでくださいまし。」
高杉「さすが、秋風。お前の芸妓姿は、何度見ても、見とれるわ。」
雪「ありがとうございます。」
私の三味線で、助六さんが、扇子を開き、踊った。
皆は、楽しそうに笑っている。
いや・・・。
皆、泣きながら・・・。涙を流して、笑ってる。
私は、初めて、禁門の変で出会った頃から、高杉さんを、思い出していた。
最初から、意気投合して、夜中まで、話をしたこと。
京の角屋に来てくれたこと。
坂本龍馬や桂小五郎に会わせてくれたのに、ヤキモチを妬いていた高杉さん。
一緒に、逃亡したこと。
私が、間者とわかっていたのに、逃がしてくれたこと。
俺に頼れと言ってくれたこと。
少ない時間しか一緒に居なかったが、大事な人になっていた。
曲が終わる頃、高杉さんは、楽しそうに、助六さんの扇子に、詩を書いた。
バタッ。
雪「高杉様っ!」
高杉さんは、力尽きて、眠った。
そして、その夜・・・。
大量の血を2回も吐き、高杉さんは、天国へ旅立った。
雪「こ・・・っ。こんなに、胸が痛いっ!・・・っ。痛いよ・・・。ふぐっ。ぐずっ。助けてあげられなくて、ごめんなさい・・・っ。ごめんなさい・・・っ。」
私は、タブで、高杉さんが、病が治った後のシュミレーションをしていた。
彼は、間違いなく、国家の中枢にいて、影響があった。
博士にも問い合わせて、田沼さんたちにも、シュミレーションをしてもらったが、彼を、イギリスに逃亡させても、影響力があったのだ。
彼を、助けると、歴史が大きく変わる。
そのため、私は、彼を、助けることが出来なかった。
雪「総司さんの時みたいに、タブで何も、見れなかったら、勢いでやってたのに・・・。」
私は、高杉さんの側で一晩中、泣いていた。