千年の時空を越えて
しばらくして、雪が、帰ってきた。
雪は、僕を見つけると、抱きついてきた。
チラとまわりを見ると、僕達のことを、面白がって、見ている隊士がいた。
総司「雪・・・。お帰り・・・。部屋に行こう・・・。」
そう言うと、雪は、頷いて、付いて来た。
部屋に入り、強く抱きしめると、微かに、線香の香が雪からした。
葬儀も出てきたのか・・・。
雪は、僕の胸に顔を付け、泣いていた。
雪の泣き顔を見るのは、山南さんの時以来だ・・・。
僕の胸が雪の涙で、熱く濡れてるのがわかる。
高杉は、幸せ者だよ・・・。
雪に、こんなに泣くほど想われて・・・。
僕の時は、こうして泣いてくれる?
未来を知るとは、僕が、思っている以上に、辛いことかもしれない・・・。
未来に、どんな事が、起こるか知らないから、頑張れるし、希望も持てる。
でも・・・。
知ってたら?
しかも、高杉は、どうやら、雪にとってここの奴らと同じくらい、大事な存在だったようだ。
大事な人の死を知ってる。
雪は、歴史を変えてはダメだと言っていた。
死を見届ける・・・。本当は、助けれるのに・・・。って、あれ?
雪は、前に、僕が労咳の時、助けてくれた・・・。
本当は、僕も死ぬって言ってた。
どうして、僕は、助けてくれたの?
歴史を変えてはダメだって言ってたのに・・・。
僕は、特別?
僕は、少し嬉しく思ってしまったんだ・・・。
雪の気持ちなんて何もわかってなかった。
雪の背負ってる物が、どういう物であるかをわかってなかったんだ・・・。