千年の時空を越えて
屯所で待っていると、新八さんに担がれて、雪が、戻ってきた。
死んだような眼をしている。
雪達が、帰ってくる前に、平助を雪が斬ったと報告が来ていた。
雪のお役目は平助の暗殺だったんだ・・・。
雪と平助は、年が近いから、仲良くしていた。
一緒に未来の歌を歌い、踊っていた。
少し前は、二人楽しそうに笑ってたのに・・・。
未来を知って、お役目を果たすという事がいかに、辛い事か・・・。
それを、雪は、間者と疑われても実行して来た。
でも・・・。
今回はかなり、参ってる。
高杉を助けられなかったこと・・・。
平助を暗殺したこと・・・。
雪がここへきて、きっと、大事な人だったんだろう・・・。
そんな人を助けられず、見守ったり暗殺したりする事が、どれほど、辛いことか・・・。
僕は、やっと、雪の辛さがわかった。
雪は、まるで、親とはぐれたややこのように僕に、泣きながら、しがみついていた。
雪「私は、今まで、こんな事・・無かったんです。どんなお役目だって、完璧にしてた・・・。でもここの人達といると、今後、お役目を果たせるのか、自信がありません・・・。」
総司「じゃあ、辞めたらいい。雪は、おなごなんだし。おなごには、おなごの幸せもあると思うよ?」
おなごには、重すぎる程のものだ。おなごの幸せだって、雪は選んで良いんだ・・・。
でも・・・。
雪はきっと・・・。
雪「私は、このお役目に、誇りを持っています。誰かがしないといけないなら私がしたい・・・。」
総司「そっか・・・。そう言うと思った・・・。じゃあ、しんどくなったら、いつでも、こうやって、抱きしめて、慰めてあげるよ・・・。」
雪「ありがとうございます・・・。」
そんな事しか言えない僕は、なんて、情けないんだろう。
でも・・・。
暗殺とか、人を殺めることに、悩んでしまうと、自分で抜けるしかないんだ。
僕は、雪を抱きしめてあげることしかできなかった。