千年の時空を越えて


私は、治療室に入る。






とっさに、未来の医療器具を持ったが、手が止まった。






未来の道具を使えば、山崎さんは、助かる。







でも・・・。




史実と違う。





どうすればいいの?





私は、目を閉じた。




息を吸い込み、目を開けた。






助けよう!






私が、医療器具に手を伸ばすと・・・。






パシっ。




手首を、掴まれた。






山崎「俺の事・・・未来の・・・術で、治したらあかんのやろ・・・。それやったら・・・。せんでえぇ・・・。」





雪「治します!」





山崎「それは、歴史を・・・変える事なんやろ・・・。お役目とちゃうことしたらあかん・・・。」






雪「いいんですっ!助けるの!助けたいのっ!」





山崎「雪・・・。俺が・・・。どれだけ、お前のこと見てたか・・・。総司・・・。助けんのも、ほんまはあかんこと・・・やったんやろ?・・・やったら・・・。俺には・・・未来の術も、薬も・・・。いらん・・・。」




雪「嫌ですっ!」




山崎「なぁ・・・。雪・・・。俺な・・・。ほんまに・・・あんたと出逢えて・・・良かった・・・。めちゃくちゃ振り回されたけど・・・。えぇ思い出や・・・。こんな愛おしいおなご・・・初めて、できた・・・。夫婦になってって・・・言いたかったんやけど・・・。こんなんやったらあかんな・・・。」




山崎さんが、私の手を握り、指を絡ませる。





山崎「手当ては、ええから・・・。このまま・・・おって・・・。」




雪「山崎様・・・っ。」





私は、ぎゅっと手を握った。




すると、土方さんが、部屋に入ってきた。





土方「山崎・・・。大坂に入る。いけるか?」




山崎「土方副長・・・こんなん・・なってもうて・・すみません。」




土方「いや。死ぬなよ。」



すると、山崎さんは、答えず、口に、笑みを浮かべた。



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