千年の時空を越えて
私達は、神田・医学所の松本先生を訪ねた。
近藤さんと、土方さんは、江戸城に入り、戦の報告をした。
私は、ずっと、何かが、引っかかっていた。
雪「何だろ・・・・。」
思い出してみる・・・。
ん?
そうだ・・・あの時・・・。
山崎『俺の事・・・未来の・・・術で、治したらあかんのやろ・・・。やったら・・・。えぇ・・・。』
雪『治します!』
山崎『それは、歴史を・・・変える事なんやろ・・・。お役目とちゃうことしたらあかん・・・。』
雪『いいんですっ!助けるの!助けたいのっ!』
山崎『雪・・・。俺が・・・。どれだけ、お前のこと見てたか・・・。総司・・・。助けんのも、ほんまはあかんこと・・・やったんやろ?・・・やったら・・・。俺には・・・未来の術も、薬も・・・。いらん・・・。』
どうして、山崎さんは、私が、総司さんを助けては、ダメって知ってたの?
しかも、未来の医療行為をしちゃダメって事も・・・。自分を助けることが、歴史を変えるってわかってたの?
考えられることは、一つだ。
未来の事を知ってる何者かに、接触した・・・。
確か、一度、山崎さんは、土方さんの命で、大坂にいた近藤さんに、文を届けた。
やっぱり、大坂で、何かあったんだ!
だから、総司さんも最初、変だったんだ!
立ち上がろうとしたとき、背中から声がした。
「雪?こんな所にいたら風邪ひくよ?」
振り返ると、総司さんがいた。
私は、総司さんを押し倒した。
総司「うわっ!」
バタッ。
総司「大胆だね?雪。どうしたの?」
雪「総司様、お聞きしたい事があります!」
総司「何?」
雪「正直に、お話しして下さい!大坂で、未来の人間に会いましたね?」
総司「っ!な・・っ!なんで、そんな事・・・。」
雪「山崎様が教えてくれたんです。」
総司「そんなわけ無いよ!」
雪「直接は、聞いてません。でもわかったんです!何故、隠す必要があるの!?私、言いましたよね?逃げてって・・・。」
総司「確かに会った・・・。でも、少し話をしただけ・・・。ごめん・・・。僕のこと、わかってしまったみたいだ・・・。」
雪「なんで、言わなかったの!?」
総司「口止めされてた・・・。でも、雪だって、そうじゃないかっ!!本当は、僕の事を助けちゃダメだったんだよね!その人が言ってた・・・っ。僕を・・・っ。助けたから、雪が、罪人になったんだって・・・。」
雪「っ・・・。それは・・・っ。」
総司「なんで・・・。そんな事したの?ダメじゃない・・・。雪が・・・雪が、罪人だなんて・・・っ。」
私は、総司さんを抱きしめた。
雪「私は、総司様を助けたこと後悔してません。私が・・・何もしていなかったら、後悔してたの・・・。だから、苦しまないで?私のためにしたことだから。」
総司さんは、私を痛いほど抱きしめた。
総司「ありがとう・・・。雪・・・。」
雪「最後の日は、“悔いがなかった”ですよ?」
総司「うん!」
私達は、約束のキスをした。