千年の時空を越えて
天からの贈り物~慶喜side~
わしは、怖くなった・・・。
家臣は、わしの言うことなど、耳にも入れず、薩摩を、攻撃し、戦になった。
大坂まで、出向いたが、薩長の攻撃に押されている。
そんなときだった・・・。
錦の紋章・・・。
慶喜「嘘じゃ・・・。こんなの・・・。わしが・・・朝敵・・・?」
信じられなかった。
薩長と敵になろうが、かわまない。
裏切った薩摩に制裁を加えるつもりだった・・・。
しかし・・・。
お上の敵になるだなんて・・・。そんな・・・。
わしは、頭が、真っ白になった。
慶喜「よいか!一歩も引くな!わかったな!」
そう皆に命を下して、わしは、江戸行きの船に乗っていた。
江戸城の皆が、わしの顔を見て、驚いた。
何故、ここにいるのかと・・・。
その理由が、広まると、皆は、白い眼で見てきた。
そうなるのもわかる・・・。
しかし・・・。
わしには、朝敵になる覚悟などない・・・。
慶喜「はぁ・・・。」
戦をしていた者達が、皆、江戸城に集まってきた。
これからどうするか・・・そんな、話し合いも、わしは、その場にいても、空気のようだ。
わしに意見を求めようとせず、自分達で、討論していた。
慶喜「席を外すぞ。」
わしが、部屋を出ると、お供の笹木が、付いて来た。
慶喜「お前も、他の者と同じであろう?いてもいなくても良いと・・・。」
笹木「そんな事は、ございませぬ。」
笹木は、無表情で、答える。
でも、わしは、知ってるのだ。
こいつも、陰でわしの陰口を叩いてることを・・・。
その時、ふと、庭の方に目をやると、何かが、屋根に飛び乗った。
猫か?
わしは、立ち止まり、ぼんやりと眺めた。
笹木「慶喜様?」
慶喜「何でもない。行くぞ。」
わしは、気にも止めずにそのばを立ち去った。
それから、わしは、毎日、猫が、屋根を飛び乗っているのを見ていた。
しかし・・・。
いつもは、飛び乗ってすぐ身を隠していたため、猫だと思っていたが・・・。
あれは、人ではないか・・・。
慶喜「曲者・・・?」
だったら、護衛に、知らせねば・・・。
しかし、わしは、そやつが、なぜか、気になった。