千年の時空を越えて
夜になり、寝室で待っていた。
今宵は、誰とも床を共にする気は、無かった。
布団に潜り、乾を待った。
慶喜「遅い・・・。」
もしかして、来ないのか?
将軍であるわしとの約束を破る事がいかに、罪の重いことか・・・。
ん?
そういえば、あやつは、新選組と言っておった。
近藤でさえ、この場は、知らん。
小姓であったら、余計に、わからない・・・。
慶喜「教えておくべきであったな・・・。」
もしかしたら、来ないかもだな・・・。
もし、来なかったら明日、また、あの場へ行こう。
そう思っていると・・・。
何かが飛んできた。
慶喜「ん?」
来た!
慶喜「乾か・・・?」
すると、天井から乾が、下りてきた。
雪「こんばんは。」
慶喜「っ!お前・・・その格好・・・。」
もともと、美しい顔をしているとは、思ったが、おなごの格好の乾に、心の臓を掴まれたように苦しい・・・。
雪「あー・・・。だって、ここ大奥だし・・・。」
慶喜「男にしておくのが、もったいないな・・・。」
おなごなら、すぐにでも、側室にするのに・・・。
雪「さぁ!行きましょう!」
乾が、手を差し伸べて来たのを、わしは、胸が高鳴りつつ、乾の手を取った。
乾は、今度は、わしをおんぶして、どんどん上に登り、ついに天守閣の上の屋根に登った。