千年の時空を越えて
そして、数日後・・・。
板橋の広場で、近藤さんの首が晒し首となった・・・。
総司「先生っ・・・っ。ふぐっ・・・っ。うっ・・・。うっ・・・。うっ・・・。」
総司さんは、その場から、動かず、泣いていた。
雪「ごめ・・・っ。ごめんなさいっ・・・。た、助けてあげられなくて・・・っ。」
夜になり、辺りが暗くなった。
総司さんは、その場に、座り込み、生きる気力を失ったようだった。
私のせいだ・・・。
すると、総司さんが、ポツリ、ポツリと話し出した。
総司「あのね・・・。この前は、ごめん・・・。雪は、僕に、別れの時間をくれたのにね・・・。」
私は、首を振った。
雪「もっと、早く言ってたら、助けてあげれたかもしれないのに・・・。」
総司「だって、歴史では、近藤先生は、斬首されていたんでしょ?僕は、病で倒れていただろうから、この場には、いれなかったんだろうし・・・。歴史上で、病の僕もここにいた?」
雪「総司様は・・・。近藤様の死を知らずに、病で逝かれたと残っています・・・。近藤様の死を知ってしまうと、きっと、生きる力が無くなってしまうと、周りの方々が、思われたのだと思います・・・。」
総司「そっか・・・。じゃあ、良かった・・・。知らずに、逝くなんて悲しすぎる・・・。別れの時間をくれて、ありがとう・・・。」
そう言うと、総司さんは、ギュッと、私の手を握った。
総司「近藤先生は、助けを望んでなかったんだ・・・。何度、言っても、ダメだった。覚悟をされていたんだ。」
雪「そうですか・・・。」
総司「雪・・・。」
総司さんは、私を抱き寄せて、ギュッと、強く抱きしめた。
総司「僕も、切腹すると言ったら、土方さんの力になれって・・・。雪を幸せにしろって・・・。切腹したら、破門だって言うんだよ?酷いでしょ?」
雪「近藤様らしい・・・。総司様の事をよくわかっていらっしゃる・・・。」
総司「うん・・・。だから、僕は、近藤先生の遺言を守る・・・。」
雪「はい・・・。」
総司さんの目に生きる光が宿っている。
良かった・・・。
そして、総司さんは、近藤さんの娘婿である勇五郎さんと共に、近藤さんの胴体を掘り起こし、故郷のお寺の墓地に埋葬した。
首は、京へ運び出された・・・。