千年の時空を越えて
陸「どうして、薬を飲んだとかわかるんですか?」
武「実は、雪に持たせているものには仕掛けをしていてね、今回だとこの薬。重さの変化があった時に、データがここに飛ぶようになってるの。だから、使った量も内容もわかるってわけ。」
陸「じゃあ、雪は生きてる?」
武「この時点ではね?でも、本人が飲んだのか、他人に飲ませたまではわからない。ねぇ、雪自身が解毒を使ったと仮定した場合、心当たりある?量からして結構ヤバいんだけど。」
俺は、さっきのタイムマシンに触っている玲をボーッと見ながら考えた。
陸「あ・・・。まさか・・・。あの時の・・・。」
武「何?」
陸「任務の前に、玲にチョコレートを貰ったんです。でも、俺は、甘いもの食べないしって断ろうと思ったら、女の子に人気の店だって。この前、俺が雪に酷いことしたからお詫びに渡せって・・・。」
説明しながら喉がカラカラになっていくのがわかる。
陸「じゃあ、俺が・・・。雪に毒の入ったチョコを・・・。っ!」
血の気が引いていく。
武「じゃあ、解毒を使ったのは雪か・・・。ちょっとまずいかも。で、玲って、一緒のチームの安田君だよね?彼女は今、どこ?」
武里博士の声がどこか遠くで聞こえる。俺のせいで雪は、毒を飲んだ。俺が一緒に食べていたら、何か気づいたかもしれないのに!
「ねぇ!聞いてる?」と肩を揺さぶられ、ハッとした。
武「安田君は、今どこ?」
陸「任務です。しばらくは帰って来れないかと。」
武「そっか。じゃあ、その間に、調べよう。仲間もいるかもしれないから気をつけて。」
陸「はい。」
武「じゃあ、今、わかっていることを言うね。雪は今、幕末の京都にいる。」