千年の時空を越えて
少しすると、また、あのおなごが来た。
総司「君もしつこいね。」
「ふふっ。また、来ちゃった。」
総司「何が、目的?僕を殺すんでしょ?」
「えぇ。そのうちね・・・。それよりも、もっと、良いこと思い付いたの。」
おなごが妖艶に笑う。
近付いて、僕の首に腕を回す。
臭い・・・。
何このキツい臭い・・・。
僕が眉をひそめたのを、我慢していると勘違いしたようで、誘惑を始めた。
「ふふっ。あなたも男なんだもの・・・。私のこと好きにして良いよ・・・。雪は、抱かせてくれないでしょう?あの子はね、人を殺すのは、何とも思わないのに、体はどんな相手も許さない。それが、任務・・・お役目なら、絶対ね。あなたも、抱かせて貰えないんでしょ?それっぽっちの相手って事よ。」
総司「僕達は、愛し合ってる。抱いてないから何?ってゆうか、離れてくれない?君、臭すぎる。」
「なっ!あんたって、女にモテないでしょ!」
総司「別に、僕は、そんなもの興味ないからね・・・。僕には、雪がいれば、それで良い。」
「へぇ・・・。あの冷徹女がどうして、いいのかしらね?」
総司「君に、答えるつもりはないよ。」
「それより、聞きたくない?雪が、どうして、罪人なのか・・・。聞きたいんでしょ?」
それは、聞きたい・・・。
すると、おなごが首に回していた腕を外して、僕の胸に指を立てた。
この仕草・・知ってる。
雪が、空気で、敵を倒すときにする仕草・・・。
「バイバイ。」
シュパァン!
・・・。
あれ・・・?
死んだと思ったが、大丈夫みたい・・・。
「チッ。何か、仕込まれてるのか・・・っ。どこまでも嫌な女・・・。」
そっか。あの時の首飾り・・・。
総司「ねぇ、どうして、雪は、罪人になるの?」
「聞きたいなら、そうね・・・。抱いてよ・・・。」
総司「僕のこと好きなの?」
「そんなわけある訳ないでしょ!あんたみたいなの大嫌いよっ!」
総司「じゃあ、そんな事しちゃダメだよ。好きでもない男に抱かれるなんて・・・。雪が、もし、そんな事してたら、苦しい・・・。」
僕は、雪の接吻を何度見たか・・・。そのたびに、どれだけ、苦しかったか・・・。
「バッカじゃないの!あんただって、雪とまぐわれていないクセに!」
このおなご、腹立つ。
人の気にしている事を・・・。
総司「で?雪の理由聞かせてよ?君の道具が、僕に効かないなら、僕の刀で戦えるんだよね・・・?」
僕は、黒い笑みを浮かべる。
シュッ。
僕は、抜刀し、おなごの首に刀を這わせた。
「っ!」
総司「僕はね・・・。おなごとかそんなの関係ないから・・・。ましてや、雪に危害を加える可能性のある奴なら、尚更だ・・・。さぁ!しゃべってもらおうか?」
「わかったわよっ!」
僕は、雪の過去の事を聞いた。
冷たいおなごと呼ばれている事。
僕の事で、歴史を変えた雪が、罪人になってしまった事。
本来なら、それを捕縛する側の人だって事。
僕が、病を受け入れられなかったからだ・・・。
僕が助けてと言わなければ、雪は、罪人にならずに済んだんだ・・・。
今までの雪を見てきたからわかる。
雪は、間者に間違えられても、高杉を助けていたし、仲良くしていた、平助も斬ったくらいだ。
それなのに・・・。
僕が、雪の事を、罪人にしてしまった・・・。
少し、呆けていると、
「ねぇ!いい?この事を言ったら、今から、あんたの仲間を全員殺すわ!わかったわね?」
と、おなごは言い残して、どこかへ消えてしまった。