千年の時空を越えて
スパーーーーーン。
総司「土方さん。」
土方「毎度、毎度、お前は・・・。はぁ・・・。」
いつも、見ている呆れ顔。
総司「さっき、屋根の上で、雪とまぐわろうとしてたら、強い殺気を感じまして・・・。護衛を任されているので、念のため、報告しに来たんですよ。」
わざと、仲が良いことを強調するように言った。
雪「ちょっと!」
土方「お前・・・。そんな所で、何やってんだよ!」
総司「羨ましいでしょ?」
土方「チッ。」
雪「そんな事は、どうでもいいんです!今、大事なのは、そこじゃないでしょ!」
総司「大事なことですよ?少なくとも、僕と土方さんにはね・・・。牽制です。け・ん・せ・い!」
僕が、大坂にいるときに、みんなの前で、接吻したと聞いたからだ。
それで、土方さんが、男色という噂が、立っていた。
面白くない。
雪「もう!いい加減にしてっっ!」
土方・総司「・・・。」
雪に怒られたけど、気分は悪い。
雪「もしかすると、間者が忍び込んでるかもしれません。」
土方「わかった・・・。上には、報告しておく。」
すると・・・。
ドタドタドタッ。
スパーーーーーン。
襖が勢いよく開いた。
近藤「はぁ・・・。はぁ・・・。はぁ・・・。」
土方「どうした?近藤さん。」
総司「土方さん。近藤さんには、注意しないんですか?」
土方さんに、嫌みを言う。
近藤「た・・・っ。大変な事になったっ!」
近藤先生、凄い慌てようだ・・・。
土方「何だ?」
近藤「慶喜公が、ゆ、雪を置いていけと仰ってる。」
総司「それって、どういう事ですか?」
近藤「一目、見たときから気に入ったと・・・。」
どうして?
土方「でも、何でだ?雪は、主要の人間には、会わないようにしてたはずだ。」
雪「実は・・・。」
雪が、今までのことを話した。
あの匂いは、慶喜公の物だったのか・・・。
土方「お前なぁ・・・。」
雪「すみません。」
総司「でも、男の雪しか知らないのに、どうして?用心棒ですか?」
近藤「それが・・・。影の側室とするらしい。」
土方「それって・・・。あのお方は、そっちの趣味があったのか?」
近藤「そんな事、聞いたこと無かったけどなぁ・・・。」
総司「今、それは、どうでもいいですよ!雪を男として、影の側室にしたいって事は、おなごとわかれば・・・。」
土方「あぁ。確実に、側室にされるだろうなぁ。」
近藤「雪・・・。側室に、なってくれないか?」
土方・総司「っ!」
近藤先生、なんて事を!!
総司「今度も、また、僕から、大事な人を奪うんですかっ!?」
近藤「今回ばかりは、致し方ないではないか・・・・。俺だって、こんな事はしたくない・・・。でも慶喜公の命だ・・・。従わなくては、いけない・・・。」
総司「そんな・・・っ。」
前の恋仲も、相手が、カタギの娘だからって、別れろと言われて、別れた。
今回は、近藤先生だって、喜んでくれたのに・・・っ。
頭では、わかってる。
大政奉還したとはいえ、将軍は将軍だ。
逆らえる訳がない。
でも・・・。
雪を手放すなんて出来ないよ・・・。
僕は、ギュッと雪を抱きしめる。
雪「話をして来ます!」
雪は、部屋を出た。
僕も、その後を追った。