千年の時空を越えて
雪が、飛び出すと、2人も、付いて来た。
雪「失礼します!」
家臣「何だっ!お前ら・・・近藤殿・・・。」
近藤「申し訳ありません!」
慶喜「良い。雪・・・。こちらへ来い。」
雪「嫌です!」
全員「なっ!」
雪、この人、誰だかわかってないの!?
でも、慶喜公と雪は、どこか仲が良い。
雪「それに、私の事は、“乾”と、お呼び下さい!」
慶喜「新選組では“雪”と呼ばれているではないか。」
雪「なぜ、男の私が、慶喜様の側室にならなければいけないのですか?」
家臣「え?側室?」
家来の人も知らなかったんだ・・・。
慶喜「お前は・・・。男でも受け入れられるんだろう?だったら、わしでも問題なかろう?」
雪「え・・・?」
あの殺気はこの人か・・・。
雪「まさか・・・。見て・・・た?」
慶喜「あぁ。そこの男と絡んでいたな・・・。」
皆に、ギロリと睨まれる。
まぁ、こうなったのは、僕のせいだよね。
僕は、いたたまれなくなり、目を逸らす。
慶喜「わしは、あの夜、お前に、触れたいと思ったのだ。お前をわしのものにできたらと・・・。しかし、お前の事を、考えると、そこまで、言えなかった。あの夜から、お前の事が、頭から、離れんのだ。お前が、この城を出るから、会いに行った。そしたら、あの場所で、お前は、男と絡んでいた・・・。心に、どす黒い物が広がったわ!わしは、お前に、触れたいのを我慢しているのに、そこの男は、容易く雪に、触れていた・・・。男とも、触れあえるのなら、遠慮はせん。雪・・・。お前は、わしのものになれ!これは、命である!」
雪「かしこまりました・・・って、言うと思いますか?私には、やるべき事があります!それに、あなたには、あなたを愛してくれてるお方がいるでしょう?一人のおなごも幸せに出来ないで、何が『わしのものになれ』よ!そんな訳わからない事ばかりしてるから、皆が、付いてこないんでしょうが!!」
家臣「お前!上様に向かって、無礼だっ!打ち首じゃ!」
雪「はぁ?ふざけんなっ!あんたたちが、勝手に動いて、ややこしくなってるんでしょうがっ!普通、殿に、逆らえば、打ち首なんでしょ!?じゃあ、私より、先に、あんたたちが、打ち首になりなさいっっ!」
雪・・・。それ以上言っちゃダメだよ・・・。いくら何でも、この人には・・・。
僕と同じ気持ちなのか皆が、青ざめてる。
「くっ、くっ、くっ。」
一人の男が、楽しそうに、笑っている。
この人、誰だろう?
勝「上様。このおなごのような男が、言うのも一理ありますぞ。痛いところを突かれましたなぁ。」
慶喜「勝・・・。」
勝「上様。この者の言うとおり。男なんぞにうつつを抜かしてる場合では、ございません。跡継ぎを作らねば。」
慶喜「わかっておる・・・。お前が、おなごなら、良かったのにな・・・。」
危なかった・・・。
雪が、おなごとバレなくて良かった。
僕は、ひとまず安堵した。
僕達は、無事?追い出されて、甲府へ向かった。