千年の時空を越えて
隊長に状況を説明し、雪の部屋のスペアキーを借りる。
部屋に入ると、雪の香りがした。昨日までは、一緒にいたのに・・・。
雪に会いたい。
そして、会って、結婚を前提として付き合いたいと伝えたい。
雪を抱きしめたい。
俺だけを見てほしい。
だから、絶対、助ける。必ず、真犯人と証拠を探す!雪、待ってろよ!
ゴミ箱を見ると、チョコレートの包み紙が出てきた。
博士は、医療用手袋をはめて、手にとり、何かしている。
陸「何、してんすか?」
武「あ、これ?これは、Y・L・Dロボっていう犬型ロボット。YLDってのはYuki Love Dogの頭文字を取ってるんだー。」
陸「うげっ。最悪なネーミングセンスだな。」
と、ボソッと呟く。
武「何か言った?」
陸「いえっ!何も。」
博士が、犬ロボットを起動させて、チョコレートの包み紙を、嗅がせた。
loading.....loading......ピッと犬ロボットの目の辺りに公式が出る。
武「えっ?・・・。これって・・・。」
陸「どうしたんすか?」
武「このチョコレートに混入している毒は、先日、開発したばかりの毒で・・・。」
陸「それって・・・。」
武「うん。うちのラボにも真犯人がいるみたい。でも、この毒なら、雪が飲んだので、解毒出来るはず。取りあえず、毒では、死なない。じゃあ、YLD!次だよ。」
そう言って、また、犬ロボットに、臭いを嗅がせた。
陸「今度は、何を?」
武「安田君の臭いを覚えさせて、彼女が通った道を全て、回る。」
陸「え?全て?」
ビックリしていると、川口さんが
川「はい。このロボは、過去に残った、臭いを嗅ぎ分けて、映像化するんだ。まぁ、警察の殺人事件とかか失踪事件とかに使うために、開発したんだ。でも、まだ完璧じゃないから。欲しいとこだけをピックアップ出来ない。」
田「全部、回らないといけない。急ぎましょう。」
陸「あ、はい。」
武「僕のかわいい雪に、こんな事するなんて絶対、許さない!何倍にもお返しするからね?あ、そうそう、ねぇ、さっきの毒の名前さぁ、アイラブパパ、バイユキってのにしようと思うんだけどどうかな?」
田「いや・・・。毒に自分の名前は、ちょっと・・・。しかもラブはいかがなものかと・・・。それはやめて頂きたい。」
と田沼さんが苦い顔をしている。
武「そっか~。いいと思ったんだけどなぁ。また、雪に聞いてみるよ。」
と、笑っている。
こう見ると、雪と博士は、親子だと実感する。天才なのに、センスがない。(雪は服のセンスがない)
しかも、倍にお返しすると言った、博士の横顔は、同じことを言った雪とそっくりだった。
苦笑いしながら、俺は、博士達と部屋を出た。