千年の時空を越えて




そして、数日後・・・。




板橋の広場で、近藤さんの首が晒し首となった・・・。




総司「先生っ・・・っ。ふぐっ・・・っ。うっ・・・。うっ・・・。うっ・・・。」




僕は、その光景が信じられず、そして、揺れる近藤先生の首を見て、現実に起こった事だと実感すると、その場から、動けなくなり、涙が、次から、次へと溢れる。








夜になり、辺りが暗くなった。




どのくらい、泣いていただろうか・・・。




気付くと、隣で、雪が、震えて、泣いていた。




雪は、こうなることを、知っていた。




また、罪を重ねて、近藤先生を助けようとしてくれたのに、僕は、雪に八つ当たりしてしまった・・・。




きっと、その事で、苦しんでるよね・・・。





総司「あのね・・・。この前は、ごめん・・・。雪は、僕に、別れの時間をくれたのにね・・・。」




雪は、首を振った。



雪「もっと、早く言ってたら、助けてあげれたかもしれないのに・・・。」




総司「だって、歴史では、近藤先生は、斬首されていたんでしょ?僕は、病で倒れていただろうから、この場には、いれなかったんだろうし・・・。歴史上で、病の僕もここにいた?」




前に、僕は、病でもう立てなくなっていると聞いた。



だったら、最後に、言葉を、交わすことが出来てなかったかも・・・。



雪「総司様は・・・。近藤様の死を知らずに、病で逝かれたと残っています・・・。近藤様の死を知ってしまうと、きっと、生きる力が無くなってしまうと、周りの方々が、思われたのだと思います・・・。」




総司「そっか・・・。じゃあ、良かった・・・。知らずに、逝くなんて悲しすぎる・・・。別れの時間をくれて、ありがとう・・・。」




そう言うと、僕は、ギュッと、雪の手を握った。




総司「近藤先生は、助けを望んでなかったんだ・・・。何度、言っても、ダメだった。覚悟をされていたんだ。」




雪「そうですか・・・。」




総司「雪・・・。」




僕は、雪を抱き寄せて、ギュッと、腕に力を込めた。





総司「僕も、切腹すると言ったら、土方さんの力になれって・・・。雪を幸せにしろって・・・。切腹したら、破門だって言うんだよ?酷いでしょ?」




雪「近藤様らしい・・・。総司様の事をよくわかっていらっしゃる・・・。」





総司「うん・・・。だから、僕は、近藤先生の遺言を守る・・・。」




雪「はい・・・。」



僕は、先生の遺言を守ります。




だから、先生・・・。見てて下さいね?





僕達は、近藤先生の娘婿である勇五郎さんと共に、近藤先生の胴体を掘り起こし、故郷のお寺の墓地に埋葬した。





しかし首は、京へ運び出されてしまった・・・。




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