千年の時空を越えて
僕の全てが消えた日~総司side~
少しして、土方さんも、会津に入った。
僕達も、追いかけなきゃ。
そう思っていると、雪に、呼ばれた。
雪「総司様・・・。お願いがあります・・・。」
総司「何?」
雪「土方様の所へ行く前に、行きたい場所があるんです・・・。」
総司「急ぎ?向こうも戦が始まってる・・・。」
雪「はい・・・。どうしても、二人で、行きたいんです。」
総司「わかった。」
そこは・・・。
千駄ヶ谷にある植木屋の家。
ここは、どこ?
雪のお役目があるのかな?
総司「ここは?」
雪「総司様が、亡くなられるはずだった場所です・・・。」
総司「え・・・?」
雪「この場所は、総司様が、病で静養し、そして、亡くなる場所・・・。」
総司「そう・・・。」
僕が、亡くなるはずだった場所・・・。
雪「お願いがあります・・・。少しの刻で良いんです。ここで、少しだけ、一緒に居てくれませんか?」
総司「どういう意味?」
雪「未来のお役目があります・・・。それが、終われば、私は・・・未来へ帰ります。だから、思い出に少しでいいので総司様と幸せな思い出が欲しい・・・。」
総司「え・・・帰る?」
雪「はい・・・。」
総司「そっか・・・。雪も・・・雪も・・・。この場から・・・。僕の前から、いなくなるんだ・・・。」
雪「ごめんなさい・・・。」
遂に、この日が、来てしまった・・・。
最近、雪は、もしかしたら、このまま、ここへ、いてくれるんじゃないかとか、思ってしまってた・・・。
僕は、自分の死ぬ日に死ぬと決めていた。
それは、大坂であのおなごに聞いたからだ。
僕が、死ねば、雪は、罪人には、ならなくて済む。
病で、死んでいたら、近藤先生の亡くなったことさえ知らなかったんだ・・・。
今まで、近藤先生の為にも、働けなかった。
先生の遺言は、守れなかったけど、良いですよね?
僕は、ニッコリ笑って、雪に言った。
総司「でも、最初から、その約束だったもんね・・・。わかった・・・。幸せな思い出作ろう!」
雪「はい!」
雪は、ホッと安堵したようだった。
でも、バカな僕は、この時の雪の覚悟を知らなかったんだ・・・。