千年の時空を越えて
夜になり、湯浴みから戻って、部屋に入ると、いつもと違う光景に固まった。
総司「雪ー。戻った・・よ・・・って、え・・・?」
雪「お帰りなさい。」
布団は一組。
雪は、絶対、布団を、二組敷いていた。
それを、いつも、僕が、雪の布団に潜り込んでは、毎日、言っていた言葉があったから・・・。
『雪が、僕に、抱かれても良いと思ったら、布団を一組にしといてね♪それが合図だからね?』
目の前には、一組の布団しかない・・・。
総司「ひ、一組?どうして?いつも・・・。」
雪が立ち上がり、僕に、抱きついてきた。
その体は、緊張で、少し、震えていた。
雪「総司様と、一緒に寝たくて・・・。」
総司「でも、僕・・・。一緒に寝たら、我慢出来ないというか・・・。」
雪は、恥ずかしそうに、僕の胸に、寄りかかる。
雪「我慢しなくて、良いです・・・。」
総司「それって・・・。」
そう言うと、雪は、ギュッと、僕を抱きしめる腕に、力を入れて頷いた。
総司「雪・・・。顔上げて・・・。」
これは、夢?
幸せ過ぎて、夢を見てるのかな?
雪の顔が見たい・・・。
でも、雪は、恥ずかしがって、俯いたまま・・・。
総司「雪・・・。」
優しく労るように声をかけると、雪は、顔を上げる。
顔を真っ赤にして、目を潤ませて、初めて見る表情だった。
僕は、嬉しくて、雪を抱きしめ耳元で囁いた。
総司「ありがとう・・・。」
雪の唇に触れると、どんどん、心が、幸せで満たされていく。
今まで、何度か、雪とこういう事になりかけたが、その時とは、全く違う。
僕を、体と心と全てを受け入れてくれた。
それを、実感出来るから、幸せで仕方ないんだ・・・・・。
おなごとは、何度も、まぐわいをしたが、全然違う。
その夜は、今まで、生きてきた中で一番、幸せで初めての感覚ばかりだった。
空が、白くなってきた頃・・・。
僕達は、今までの時を埋めるように何度も口付けをしていた。
総司「雪・・・。愛してる・・・。」
雪「私もです。愛しています。」
このまま、時が、止まればいいのに・・・。
総司「このまま、時が止まればいいのに・・・。って、また、僕、女々しいね・・・。」
雪「私も、同じ事を考えていました・・・。」
僕達に残された時は、後わずかだ。
その少しの間も、雪と幸せを感じたくて、離せずにいた。