千年の時空を越えて
総司「ね・・・。ねぇ、雪、もういいの?」
雪「はい!総司様のおかげで、罪人を捕らえる事ができました。」
雪「そう・・・。良かった・・・。じゃあ、これを元に戻して?」
すると、雪は、切なそうな顔をして、首を横に振った。
総司「どうして?まだ何か、やることあるの?」
雪「はい・・・。」
雪は、二つの薬を出した。
嫌な予感がする・・・。
総司「な・・・。何それ・・・?」
雪は、その内の一つを地面に叩きつけた。
パリンッ!ピチャ・・・。
そして、もう一つを飲み干した。
総司「雪!?何をっ!何を飲んだのっ!?」
雪「う゛っ・・・。ゲバッ。」
総司「雪っ!!!」
雪が、大量の血を吐いて倒れた。
まさか・・・。
雪「総司様・・・。ゲボッ。姿・・・変わって、しまった・・けど、これで・・・土方様の側に・・いられるから・・・。」
総司「まさか・・・。」
雪「ごめん・・なさいっ・・・。総司・・様を・・助け・・・私だから・・・後悔しないで?」
総司「まさか・・・僕の代わりに・・・っ!」
僕は、雪を抱きしめた。
総司「ダメだよっ!こんなのっ!雪っ!誰か・・・。誰か、助けてよっ!」
雪「総司様・・・いいんです・・・総司様・・愛しています。こんな気持ちを教えてくれて・・・ありがとう・・・。」
総司「ダメだよっっ!!雪!僕が・・・っ。僕・・・。」
僕が、死ぬはずだったのに・・・っ。
ギュッと抱きしめると、先ほど、雪が、割った、小さな瓶の水が目に入った。
あれ、見たことある。
僕の病を治してくれた時に飲んだ水の色に似てる。
僕は、地面に落ちて、土が、吸っていく水を、指に絡ませる。
総司「雪・・・。飲んで!」
指を雪の口に入れる。
僕は、地面に口を付けて、残っている水を、吸って、雪に口移しで、水を入れた。
総司「こんな事・・・っ。こんな事・・・っ。酷いよ・・・。僕・・・。」
僕が、死ぬ運命だったのに・・・。
なぜ、君が、死ぬんだよ・・・っ。
すると、雪の体が、透けていく。
総司「な・・にこれ・・・。どうして・・・?雪!?ヤだよっっ!!雪っっ!!」
雪の体は跡形もなく消えてしまった・・・。
後に、残ったのは、雪から貰った、首飾りと、“たぶ”だけが残った。